しかし、逆に考えたらEMSを利用すると、自分の意思ではうまくコントロールしにくい筋肉にも効果的な刺激を与えられるということも考えられる。たとえば、意識して胸の筋肉を収縮させるのが苦手な人は、そこに電極を当てみると筋肉が収縮している感覚を身につけることができるだろう。
トップアスリートのなかにも、EMSを使った筋肉への刺激をトレーニングの一環として応用している人はいるようだ。使い方に次第では、運動能力(パフォーマンス)向上に寄与できるかもしれない。
筋トレと同じ効果をもたらす万能薬はない
ほかに喧伝されているのは、EMSの「ダイエット効果」。EMSでも、筋運動をしていることには変わりはない。筋収縮によって、エネルギーはある程度消費されるが、時間あたりの運動量はさほど多くない。それだけで痩せるのは難しい。
エステサロンなどの「部分痩せ」に用いられることもあるそうだが、"劇的な効果"を実感したという人が、あなたの身近にいるだろうか? 市販されているEMSは価格も性能もピンからキリまである。しかも購入後に使う「消耗品のパッドやクリームなどが高価」という声も聞こえてくる。
結論としては、いずれにしても、筋力トレーニングと同様の効果をもたらす万能薬はない。コツコツと自己管理を続けながら、継続した運動を心掛けるほかない。EMSを一つのツール、道具として割り切って使うのも決して間違いではないと思う。