連載第20回 いつかは自分も……他人事ではない“男の介護”

「家族介護」は無償・無制限・無限定!? この常識を男性介護者が変える!

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 雇用ニーズの環境変化もある。

 男女雇用機会均等法が制定されてから30年。雇用における男女差別の撤廃というテーマがようやく社会経済の表舞台にあがった。採用や処遇面での局地的な前進はあったものの、母性保護などの支援ではむしろ極端に後退した。雇用環境での男女平等は"なお道遠し"、課題は山積している。

 女性の働き方が"男性化した"に過ぎないからだ。男社会における、これまでの働き方とシステムに対して、是非を問い、それを正すことなく、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の向上はない。

均等法の轍を踏むな! 介護を変えるのは男性

 男性の介護環境も、まったく同じ構造を抱えている。男女が共に介護を担う時代では、家族と自分の老後を安心して託すことができる、新しい介護のスタイルとシステムを創造していくことが必要だ。

 女性が「男性のような働き方」に異議申し立てたように、男性介護者もこれまでの介護に疑問をもつべきである。無償かつ無制限・無限定な、家族介護労働をなぞっていくだけでは、決して解決しない。

 すべて団塊世代が後期高齢者の仲間入りするまで、あと10年。介護と共生可能な社会モデルの実現を目指す、私たちのチャレンジは続く。

連載「いつかは自分も......他人事ではない"男の介護"」バックナンバー

津止正敏(つどめ・まさとし)

立命館大学産業社会学部教授。1953年、鹿児島県生まれ。立命館大学大学院社会学研究科修士課程修了。京都市社会福祉協議会に20年勤務(地域副支部長・ボランティア情報センター歴任)後、2001年より現職。専門は地域福祉論。「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」事務局長。著書『ケアメンを生きる--男性介護者100万人へのエール--』、主編著『男性介護者白書--家族介護者支援への提言--』『ボランティアの臨床社会学--あいまいさに潜む「未来」--』などがある。

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津止正敏
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