レバーなどの動物性食品に含まれる非ヘム鉄は体内に吸収されやすいshutterstock.com
全国各地で気温35度以上の猛暑日が続き、熱中症に倒れる人も続出している。水分をこまめにとるなどの対処法は多くの人が心がけているはず。また、あっさりした食事にかたよりがちだが、暑さに負けないための栄養をとることも心がけたい。栄養士で料理研究家の若宮寿子さんに、手軽でおいしい熱中症対策の食事について緊急取材した。
熱中症対策はエン・テツ・サン
若宮さんは「熱中症対策として、エン(塩)・テツ(鉄)・サン(酸)を、とることを心がけていただきたいですね」とポイントを指摘する。
塩は、汗とともに流れ出てしまうので、その補給をしなければならない。酸は、梅干しやレモンに多く含まれていて、疲労回復によい。そして、意外と見落とされがちなのが、鉄の補給である。血液は全身に酸素を運んでいるが、鉄分が不足して貧血状態になると、体内が酸素不足になる。すると、さまざまな不調をきたし、当然、熱中症にも負けやすくなる。
「食物に含まれる鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄はレバーやカツオの血合いなど動物性食品に含まれます。非ヘム鉄は小松菜やほうれん草などの野菜と、ひじきなどの海藻に含まれます。そして、ヘム鉄のほうが非ヘム鉄よりも、体内に吸収されやすいという特徴があります」
最近ちょっと鉄が足りないなと感じたら、ヘム鉄をとれば吸収されやすいわけだ。ちなみに厚労省が発表している1日あたりの鉄の推奨摂取量は、男性(30~69歳)が7.5㎎、女性(30~69歳)が10.5mgである(月経がない場合は6.5㎎)。栄養は食物からとるのが基本だが、緊急の場合はコンビニなどで手に入る鉄分配合のゼリー飲料やサプリメントで鉄分を補給してもよいだろう。
惣菜品も上手に使えばワンランク上の一品に
夏の食事は、どうしても口当たりのよい、素麺やざる蕎麦ばかりになって、栄養のバランスがかたよりがちになる。
「たとえば、串焼きのレバーを買ってきて、串からはずして添えるだけでもよいのです。そのレバーをニラともやしで炒めれば、あっという間にレバニラ炒めになります。いくらカラダによい料理だからといっても、キッチンで長時間火を使えば、熱中症のリスクが高くなってしまいますから、手軽においしく、ということも大切でしょう」
若宮さんに、火を使わないでおいしくできる熱中症対策レシピを2つ紹介してもらった。涼味たっぷりの栄養満点レシピで、暑さを乗り切りたい。