太陽光線が原因で慢性疾患に!?
紫外線は老化を引き起こす原因ともいわれているが、慢性疾患「光線過敏症」や「光線性皮膚炎」も太陽光線が原因で起こる。
「最近、肌荒れや炎症が治らない」「薬を塗っているのに改善しない」場合、日光による日焼けではなく、皮膚のバリア機能の問題や免疫低下が引き起こす病気の可能性もある。
皮膚の炎症状態から、一見アトピー性皮膚炎と見間違えられるケースもあり、ひとくちに光線過敏症といってもさまざまだ。皮膚免疫のバリア機能の問題による発疹で留まればよいが、重度に至るケースもある。発熱や嘔吐などの症状が見られる場合もある。
「光線過敏症」は、種類や症状のレベルもさまざまだ。日本皮膚科学科でも教育講演が行われており、広い意味での日光性炎の多くは、太陽を浴びた部位の皮膚が赤くなり、かゆみを伴う発疹が見られ、30 代女性に多いという。
ほかにも、太陽光線によって薬疹が引き起こされる場合や、飲酒歴の長い中高年以降が日差しを浴びると発症しやすい慢性性皮膚炎「ポリフィリン症」などがある。
とくに高齢の男性に多い「後天性慢性光線性皮膚炎」は、皮膚の炎症から激しいかゆみを伴い、眠れなくなることもある。老人性日光線炎ともいわれているが、最近では若年の男女にも発症が確認されている。
なにをおいても遮光が肝心!
皮膚に発疹や炎症が表れると、「薬以外は余計ものを付けない」ようにしがちだ。しかし、光線過敏によるものだと、まずは「太陽光線の遮断」が重要になる。ステロイド剤の塗布、抗ヒスタミン剤の内服と同じくらい、サンスクリーン剤などの使用に加え、衣服などでの遮光の徹底が大切なのだ。
後天性の日光性炎の要因は、太陽光線だ。ところが、なぜ、ある日突然さまざまな不具合が表れるのか、詳しい原因は解明されていない。症状が重篤な場合、屋外の日差しをカットするため、すべての窓に遮光シートを貼る必要さえある。
「後天性慢性光線性皮膚炎」の患者が日差しを5分間浴びた場合、健康な人が真夏の海辺で10時間日焼けしたときと同じダメージを受けるケースもある。皮膚の免疫低下によっては、わずかな時間でそれほどの影響が起こるのだ。
太陽光線が原因の疾患で注意すべきは、「建物の日陰は大丈夫かも」「梅雨時は関係ない」といった油断だ。日陰でも太陽光の10%は届く。梅雨でも、雨の切れ間の日差しがある。
そこまで徹底して遮光すれば、改善が見込める。オフィスでは事情を伝え、窓側ではなく日差しの届かない場所に席を移動してもらう。外出時は肌の露出をできるだけ避け、つばの広い帽子やアームカバー、ネックカバーなどを使い、日焼け止め剤をこまめに塗ることだ。
くれぐれも「単なる皮膚の炎症」「ほっておいても治る」などと思い込まず、まずは専門医に判断を仰ごう。早めに適切な治療をすることで、症状の悪化を防ぐことができるはず。紫外線のカットは、皮膚の老化防止にもなって一石二鳥かもしれない。
(文=編集部)