食物繊維が多く含まれる食材を追加 jEss/PIXTA(ピクスタ)
「糖質カット」「食べ順」「トマト」......、流行のダイエット法をいくつも試してみたが「つらくて挫折」「いつもリバウンド」。そんな悩みを持つ人に朗報だ。
「食物繊維を1日30g以上摂るだけで、肥満の人の体重を効果的に減らせる」という研究結果を、米・マサチューセッツ大学医学の研究グループが科学会誌『Annals of Internal Medicine』(2月17日発行)に報告した。
この方法は、制約の多いダイエットを続けられない人にとって効果的な選択肢になるという。
複雑なダイエットは必要なし?
もともとアメリカの肥満・メタボ対策として代表的なものに、米国心臓病学会(AHA)が公表する食事ガイドイランがある。
たとえば「1日30g以上の食物繊維を取る」「タンパク質は脂肪分の少ない食品から」「糖分と塩分の摂取は極力控える」「脂質は飽和脂肪酸7%未満、トランス脂肪酸1%未満」「カロリー摂取の比率は炭水化物50~55%、タンパク質15~20%、脂質30~35%」といった内容だ。
しかし、このルールは複雑で制約が多いため、一般人が実行するのは難しい。そこでマサチューセッツ大学医学の研究グループは、「食物繊維の摂取量」だけに焦点を絞った食事コントロールで、体重をどれだけ減らせるかを調査した。
今回の研究に参加したのは、メタボリックシンドロームの米国人男女240人。研究グループは、参加者を「1日の食物繊維摂取量を30g以上に増やすだけ」(サプリメント不使用、野菜・果物・全粒粉穀物による)のグループと、「AHAの食事ガイドイランすべてを実行する」グループに分けて、1年間追跡調査した。
その結果、ガイドラインをすべて実行したグループは体重が平均2.7kg減量した。一方、食物繊維の摂取だけのグループは平均2.1kgの減量だった。つまり「AHAダイエット」よりやや劣るが、食物繊維を摂るだけでも減量効果が明らかだと示されたのだ。
さらに30g以上の食物繊維を継続して摂ったことで、参加者のほぼ全員の血圧値、血糖値が下がっていた。このことは、心疾患や糖尿病の予防・改善にもつながるという。
お腹いっぱいに食べて痩せられる?
ちなみに日本の厚生労働省は、1日の食物繊維摂取目標量を18歳以上の成人男性で19g、女性で17gとしている。しかし、実際の摂取量は14gぐらいといわれ、やや不足気味だ。となると「1日30g」は厳しいように思えるが、毎日の小さな工夫で達成はできるはずだ。
食物繊維には、ゴボウ、サツマイモ、カボチャ、オクラ、玄米などに豊富な「不水溶性食物繊維」と、昆布、ワカメなどの海藻類、シイタケやシメジなどのきのこ類、バナナやリンゴなどの果物に含まれる「水溶性食物繊維」の2種類がある。それらを2:1の割合で摂るのが理想といわれる。
まずは、植物性の食材を増やすこと。1日の野菜摂取量の目安は「生の状態で両手3杯分」とよく言われるが、火を通しておひたしなどにすれば無理なく食べられる。
穀類も白米ではなく玄米や雑穀米を、パンも全粒粉を使ったものを選ぶ。同じ麺類でも、ラーメンやうどんよりも蕎麦にすれば食物繊維がグンと増える。
今回の実験を手がけた研究者は「体重が減りやすいだけでなく、食物繊維が豊富だと味が良くなる。同じカロリーでも食品のかさが増えるので、満腹感を得やすい」と語っている。
ちょっとした意識で減量効果を得やすい「食物繊維ダイエット」。おいしく食べて病気も予防できるのは、一度試してみるもいいかもしれない。
(文=編集部)