連載第9回 薬は飲まないにこしたことはない

漢方薬やサプリメントが西洋薬よりも安全だとは限らない!

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漢方薬にも副作用はある shutterstock

 近年、処方薬や市販薬の副作用を回避するために、漢方薬を服用する人が増えている。日本の病院では西洋医学に基づいた医療が提供されており、たいてい西洋薬を取り扱っているが、漢方薬を処方してくれるところもある。

 漢方薬は、個々の患者の体質や病態を考慮して処方される。その際のモノサシになるのが「証(しょう)」だ。これは、体質・体力・抵抗力・症状の現れ方などの個人差を表すもの。「虚証と実証」「陰証と陽証」「表証と裏証」「寒証と熱証」「気虚証・血証・水毒証」など、さまざまな証に分類されている。

 この証を考慮しながら処方するので、同じ病気の患者であっても別の漢方薬が出される場合もある。オーダーメードに近く、より患者のことを考えたものといえるだろう。

 また、漢方薬の原料は生薬(植物、動物、鉱物など薬効のある天然産物自然物)であり、人工的に作られた西洋薬よりは身体に優しく、穏やかに効いてくる。そのため、「副作用がないから安心だ」と思い込んでいる人も少なくないが、これは大きな誤解である。

 これまでに報告された漢方薬の副作用例には、小柴胡湯(しょうさいことう)とインターフェロン製剤の併用による間質性肺炎(死亡例もあり)や、甘草(かんぞう)含有漢方薬の併用による偽アルドステロン症などが挙げられる。なお、甘草は葛根湯など多くの漢方薬に含まれているものだ。

 したがって、漢方薬だからといって決して副作用がないわけではない。薬効があるということは、それだけエネルギーが強いことでもあり、その効果を引き出すのに煎じて煮詰め濃縮するため、さらにリスクも高くなる。

 また、漢方薬も西洋薬と同様、症状を根源から断つものではなく、症状を抑えるだけの対症療法のひとつにすぎない。高血圧などの慢性症状に効くといわれる漢方薬もあるが、正常値を維持するには、薬をずっと飲み続ける必要がある。

 漢方薬の服用を考える場合、特に他の漢方薬や西洋薬との飲み合わせにより、副作用リスクがあることを理解してほしい。

人工的なサプリメントは「死んだ食品」

「漢方薬に副作用があるならサプリメントを飲もう」と思う人もいるだろう。ビタミンやミネラル、食物繊維など特定の成分を凝縮して含有したサプリメントは、健康食品であり、副作用が起こる可能性は薬よりは低い。

 だが、人工的に作られたものには変わりはない。私はときどき「どのサプリメントを飲んだらいいですか?」とアドバイスを求められるが、そのときは「サプリメント自体、おすすめできない」と答えている。なぜなら、サプリメントは、自然の作物の生命力を持たない、特定成分を合成しただけの「死んだ食品」だからだ。

 自然のものには多くの成分が入っており、丸ごと食べるからこそ身体に良い影響を与える。よく「レモン○○個分のビタミンCを含有」などの宣伝文句を耳にするが、さまざまな栄養素のうち、ある成分だけ凝縮したものが、果たして身体に良いと言いきれるだろうか。

「最近は、土壌の変化で野菜などの栄養価が下がっているから、サプリメントを飲む」という人もいるようだが、自然の作物の力にはかなうわけがない。確かにサプリメントは手軽だ。しかし、人工的なものを摂るよりも、普段の食事のバランスを整え、生命の力を感じられるものから栄養を摂取するべきである。


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宇多川久美子


宇多川久美子(うだがわ・くみこ)
薬剤師・栄養学博士(米AHCN大学)・ボディトレーナー、一般社団法人国際感食協会代表理事、ハッピー☆ウォーク主宰、NPO法人統合医学健康増進会常務理事。1959年千葉県生まれ。明治薬科大学卒業。薬剤師として医療の現場に身を置く中で、薬漬けの医療に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を活かし、薬に頼らない健康法を多方面に渡り発信している。その他、講演、セミナー、雑誌等での執筆も行っている。

宇多川久美子(うだがわ・くみこ)

薬剤師・栄養学博士(米AHCN大学)・ボディトレーナー、一般社団法人国際感食協会代表理事、ハッピー☆ウォーク主宰、NPO法人統合医学健康増進会常務理事。1959年千葉県生まれ。明治薬科大学卒業。薬剤師として医療の現場に身を置く中で、薬漬けの医療に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を活かし、薬に頼らない健康法を多方面に渡り発信している。その他、講演、セミナー、雑誌等での執筆も行っている。最新刊『薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法』(光文社新書)が好評発売中。

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