連載第3回 サプリメントの天国と地獄

原材料の裏話、アミノ酸サプリメントに中国産の髪の毛が使われていることも!?

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 アミノ酸のサプリメントは人気の製品のひとつですが、材料に中国産の髪の毛が使われているかもしれないというお話をしましょう。

 サプリメント原材料の規格書を見ていると、原産地として「中国」、原料の起源として「人毛」と書かれているものがあります。ギョッとする話ですが、昔は日本でも実際に髪の毛が食料として使われたこともあったそうですから、決して驚くべき話ではないのです。

安全面でも問題の人毛原料

 アミノ酸はタンパク質を分解して製造され、通常は大豆タンパクなどを原料にしますが、コストを安くあげるため人の髪の毛を使うという考えが生まれたのだと思います。髪の毛もタンパク質でできているので、アミノ酸の原料になるのです。

 現代の私たちからすれば気味の悪い話ですが、日本でも戦中戦後の食料不足が激しかった時は、髪の毛を原料に醤油が作られていたといいます。ただ、中国人の髪の毛を原料として使うのは、感情的な問題だけでなく安全性の観点からも気になる点があります。

 というのは、髪の毛は体内にある有害物質を排出する場所でもあるからです。微量ですが魚などに含まれる水銀やヒ素といった有害なミネラルは、尿や便だけでなく髪の毛にも送られ、抜けることによって外部に捨てられるのです。髪の毛も人体の重要なデトックス効果を担っているわけです。

 ひるがえって中国の環境を見ると、著しい経済成長とともに大気や水の汚染が大問題になっていますし、さまざまな添加剤が使われ食の安全も危ぶまれています。

 こうしたことを考えると、中国人の髪の毛が原料となって作られたアミノ酸のサプリメントがあるとすれば、その安全性を気に掛けるべきでしょう。できればそうした原料が使われていない製品を探すほうが良いと思いますし、少なくとも重金属や有害物質が残留していないことが確認できるサプリメントを使うべきです。いずれにしても、あまりにも安いアミノ酸アプリには要注意です。
 

注意が必要なハーブ系サプリ

 使用するに当たって注意を要するサプリメントに、ハーブ系サプリがあります。世界にはさまざまな症状に有効とされるハーブがあり、昔から洋の東西を問わず、生活の中に取り入れられてきました。例えば、「セントジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)」はうつに効くと言われています。

 しかし、サプリメントは成分が凝縮されており、医薬品に近い働きを持つものも多く、専門的な知識の無い人が自分の判断で使用するのは、あまりお勧めできません。何より注意しなければならないのは、医薬品との相互作用です。お医者さんから処方された薬などを飲んでいる場合、セントジョーンズ・ワートは医薬品の効果を増幅したり減殺したりする性質があるため、注意が必要です。

 また、コレステロール値が高く、お医者さんから薬を処方されている人が、自分の判断でコレステロール値を下げるとされている紅麹エキスを服用すると、薬との相乗作用によって医者が考えているよりも大幅にコレステロールを低下させてしまう可能性があります。必要以上にコレステロールを低下させると、体に必要な補酵素である「CoQ10」も低下しますし、コレステロールを原料に作られるホルモンも低下するので、体のためにはかえってマイナスです。

 特殊な効果を持つ素材は副作用の情報も多くないため、どんなリスクがあるのか未知数です。専門家と相談せず、素人考えで服用すると、後で後悔することにもなりかねません。その効果に関して大げさな宣伝が行われているハーブ系サプリメントの使用には、特に慎重さが求められます。


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田村忠司

田村忠司(たむらただし)
株式会社ヘルシーパス代表取締役、日本抗加齢医学会会員、NRサプリメント・アドバイザー(一般社団法人 日本臨床栄養協会)。1988年、東京大学工学部産業機械工学科卒業。同年、株式会社リクルートに入社。10年間にわたり、通信事業を中心に経営戦略、新規事業立案、マーケティング戦略立案に従事。1998年、「日本老化制御研究所」を擁する、日研フード株式会社に入社。取締役経営企画室長、サプリメントの製造子会社の代表取締役社長として活動。2006年、「医療従事者が自信を持って使えるサプリメントを提供して欲しい」との、医師、薬剤師からの要請に応えて、医療機関専用サプリメントの専門メーカー、株式会社ヘルシーパスを設立。栄養療法に取り組む医師・歯科医師へのサポート・情報提供のため、日々、全国各地を飛び回り、楽しく仕事に取り組んでいる。著書に『サプリメントの正体』(東洋経済新報社)がある。
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田村忠司(たむら・ただし)

株式会社ヘルシーパス代表取締役、日本抗加齢医学会会員、NRサプリメント・アドバイザー(一般社団法人 日本臨床栄養協会)。1988年、東京大学工学部産業機械工学科卒業後、株式会社リクルートに入社。10年間にわたり、通信事業を中心に経営戦略、新規事業立案、マーケティング戦略立案に従事。1998年、「日本老化制御研究所」を擁する日研フード株式会社に入社。取締役経営企画室長、サプリメントの製造子会社の代表取締役社長として活動。2006年、「医療従事者が自信を持って使えるサプリメントを提供して欲しい」との医師・薬剤師からの要請に応えて、医療機関専用サプリメントの専門メーカー株式会社ヘルシーパスを設立。栄養療法に取り組む医師・歯科医師へのサポート・情報提供のため、日々、全国各地を飛び回り、楽しく仕事に取り組んでいる。著書に『サプリメントの正体』(東洋経済新報社)がある。

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