連載第4回 サプリメントの天国と地獄

サプリメントは自分のアレルギーをよく知ってから使うべき

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
new_arergy01.jpg

気をつけたい三大アレルゲンshutterstock.com

 サプリメントは「健康補助食品」、「栄養補助食品」などと呼ばれることが多いため、ついすべてが安全で体に良いものと思いがちですが、実は体調不良やアレルギー症状などの原因になる可能性もはらんでいます。
 
 例えば、サプリメントに含まれる「乳糖」が原因で下痢などの不調を起こしてしまうケースです。乳糖とは、ほ乳類のお乳に含まれる糖の成分で「ラクトース」とも呼ばれ、工業的に生産するときはチーズの製造で生まれるホエーから作られます。サプリメントには栄養成分だけでなく、様々な添加物が入っていますが、その中でも乳糖は粉を固める「賦形剤(ふけいざい)」としてよく使われています。

 乳糖は、授乳期の赤ちゃんなら消化できますが、成長するに従って乳糖を消化する酵素が少なくなってしまう「乳糖不耐症」の方が多く、こうした方には乳糖は消化できませんし、腸の中で吸収されず、人によっては下痢などを起こすことになります。また、牛乳などが原料ですので、わずかながら乳成分が残っていることもあります。これがアレルゲンとなって乳アレルギーを起こす可能性もあります。
 
 アレルギーの要因は、牛乳だけではありません。三大アレルゲンには牛乳のほかに大豆や卵も入ります。いずれもその中に含まれるタンパク質が問題を引き起こす原因となります。サプリメントを購入する前にこうした材料が使われているのかどうかをチェックするのはとても大事なことです。特に良質なタンパク質や脂質を含む大豆はサプリメントに使われることも多い材料です。
 
 また膝関節に良いとされ、人気のサプリメントの一つでもある「グルコサミン」も原料にはエビやカニなどに由来するものが多いので、アレルギーが出てしまう方もいます。サプリメントには固めるための賦形剤の他にも、滑沢剤、甘味料、人工香料、合成着色料、コーティング剤、など様々な添加物が配合されています。ドリンクやゼリー状のモノであれば防腐剤が加わるケースも多いでしょう。

原因が分かりにくい「遅発型フードアレルギー」

 このようにサプリメントはどこにどのようなアレルゲンや体調不良の原因となる物質が入っているか分かりません。パッケージの裏側などにあるサプリメントの成分表を見て、自分に合わないものが入っていないかを調べることは、自分で自分の身を守るために必要なことなのです。
 
 また、最近注目されているアレルギーの中には、「遅発型フードアレルギー」というものがあります。遅発型フードアレルギーは、良く知られているアナフィラキシーを起こす即発型のアレルギーと異なり、アレルゲンとなる物質を食べてからアレルギー反応が起きるまでに数時間、あるいは半日以上かかることがあり、何がアレルギーの原因になっているのかが本人に分かりにくいのが特徴です。
 
 自分がどんな食材にアレルギーを持っているのか?遅発型フードアレルギーがあるのか?をお医者さんで調べてもらうことも重要です。ただ、医療機関に行っての検査はそれなりにおカネがかかります。

 手軽にできる方法としては携帯電話などで自分が食べたものや摂取したサプリメントを携帯電話やスマートホンのカメラで撮影してチェックするという手があります。頭痛がしたり、だるい、肌が荒れるなどの体調不良を感じた時やアレルギー症状が出たときに、自分が前食、前々食で何を食べたのかを確認することで、ある程度怪しい食材に目星を付けることが出来るでしょう。


連載「サプリメントの天国と地獄」バックナンバー

田村忠司(たむら・ただし)

株式会社ヘルシーパス代表取締役、日本抗加齢医学会会員、NRサプリメント・アドバイザー(一般社団法人 日本臨床栄養協会)。1988年、東京大学工学部産業機械工学科卒業後、株式会社リクルートに入社。10年間にわたり、通信事業を中心に経営戦略、新規事業立案、マーケティング戦略立案に従事。1998年、「日本老化制御研究所」を擁する日研フード株式会社に入社。取締役経営企画室長、サプリメントの製造子会社の代表取締役社長として活動。2006年、「医療従事者が自信を持って使えるサプリメントを提供して欲しい」との医師・薬剤師からの要請に応えて、医療機関専用サプリメントの専門メーカー株式会社ヘルシーパスを設立。栄養療法に取り組む医師・歯科医師へのサポート・情報提供のため、日々、全国各地を飛び回り、楽しく仕事に取り組んでいる。著書に『サプリメントの正体』(東洋経済新報社)がある。

田村忠司の記事一覧

田村忠司
バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子