新薬より「ジェネリック医薬品」のほうが高い? 歪んだ薬剤価格は是正されるのか?

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必ずしも安くならないジェネリック医薬品

 一般的にジェネリック医薬品の薬剤価格は、同一成分の新薬の2~8割ですむ。ところが、ジェネリック医薬品を選択したのに窓口で払った薬剤費は新薬にした場合より高かった、という奇異なケースも世の中にはあるのだ。一体どういうことなのか。
 
 まず、ジェネリック医薬品とは、新薬の特許が失効後、多くはその新薬メーカーとは別の企業が製造した同一成分の薬剤だ。一般に新薬は開発コストが200億円程度といわれるのに対し、同じ成分のジェネリック医薬品を開発するコストはたかだか数千万円程度。この原価の差が販売価格に反映され、ジェネリック医薬品は安価となるのである。だからジェネリック医薬品を前面に打ち出している製薬会社は、新薬を生み出す力がないため、特許切れで製造コストがかからない薬に特化しているにすぎない。
 
 では、なぜ新薬とジェネリック薬の価格が逆転してしまうのか? たとえば、てんかんや偏頭痛に使用される「デパケン細粒40%」という薬がある。新薬の価格は1g当たり24.8円、ジェネリック医薬品の薬剤価格は1g当たり26.8円で、後者の方が2円高い。実は、ジェネリック医薬品のほうが高い医薬品成分は日本国内で10成分弱、新薬とジェネリック医薬品が同じ価格の成分が10成分強ある。

●日本独自の薬剤価格の決定方式が原因

 この摩訶不思議な現象は、日本での薬剤価格の決定方式に原因がある。日本では医療機関で処方される薬はすべて公定価格。正確には厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会の諮問を受けて厚生労働大臣が決定する。これについてはある一定のルールがあり、新薬の場合は基本的に開発・製造に要した原価をもとにするか、すでに使用されている同じ効果の薬の価格との比較するかで決定される。また、ジェネリック医薬品の場合は原則、同一成分の新薬の70%と定められている。このルールに則れば、ジェネリック医薬品は必ず新薬より安くなる。ところが、薬剤価格の決定には、もう1つのルールがある。
 
 基本的に薬剤は公定価格で医療機関に販売されるはずなのだが、実際には企業間競争などから公定価格より安く販売されているケースがほとんど。このことを踏まえて厚生労働省では新薬、ジェネリック医薬品のいずれも実際の販売価格を調査して2年に1回、販売価格に応じた薬剤公定価格の引き下げを行っている。また、この価格引き下げの際には、当初の想定より市場が大幅に拡大して売上が伸びている薬剤なども、その市場規模拡大と引き換えに薬剤価格が引き下げられることもある。
 
 こうすることは薬剤価格の高止まりを防ぎ、国が公費で負担する薬剤費、患者の自己負担薬剤費を減らすことができるというメリットを生んでいる。そして、この薬価引き下げの価格調査の際に、新薬のほうがジェネリック医薬品よりも実際の市場販売価格が低くなってしまったケース、あるいは逆転現象はなかったが、市場拡大分の価格引き下げを実施し、結果としてジェネリック医薬品のほうが高くなってしまったという現象がたまたま起きてしまうのだ。もっとも「逆転ケース」は、ジェネリック医薬品がある新薬全体の1%に満たないため極めてレアケース。ただし、ジェネリック医薬品のほうが安いものの、新薬との価格差が小さく、患者がメリットを感じにくいケースはそこそこある。
 
 そもそも現在、ジェネリック医薬品がかつてない「市民権」を得ているのは、高齢化社会が進展する中で拡大を続ける薬剤費の国庫負担分を減らしたいという国の思惑があり、ジェネリック医薬品使用が推進されている。このため厚生労働省では2年後の薬価引き下げの際に、これまで新薬の70%と設定されていたジェネリック医薬品の薬剤価格を50%に引き下げる提案をすでに始めている。その意味で、ジェネリック医薬品はより安くなる可能性が高く、こうした逆転現象もそう遠くないうちに解消されるとみてよいだろう。
(文=チーム・ヘルスプレス)【ビジネスジャーナル初出】(2014年9月)

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