葛根湯や麻黄湯、高齢者や子供は要注意
「ただ、話題となった清肺排毒湯や、風邪やインフルエンザに一般的に使われる葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)などの麻黄剤を服用してしまうと、小児や高齢者には強すぎて心臓に負担がかかり、特に高齢者では尿閉や緑内障を悪化させる可能性があります。
コロナウイルスでは高齢者が重篤化しているケースが多いようですから、私は麻黄が含まれない方剤、たとえば参蘇飲(じんそいん)などを処方します。また咳を鎮めるため胸がすっきりする柴胡(さいこ)が含まれる方剤が使われることがありますが、柴胡が強すぎると免疫力が高まりすぎサイトカインストームを起こし、逆に咳込んでしまうというケースがあります。こうした処方には十分な臨床経験がないと難しいところだと思います」(同)
新しく始める免疫強化外来とは、どんなものなのか。西大條院長は次のような方を対象に考えているという。
(1)新型感染症かもしれないが、どうしていいかわからない。
(2)通院する時間がなく、調剤薬局に行くなどの手続きが面倒。
(3)テレワークのため外出できない。通院中の電車や待合室で新型感染症などをうつされないか心配。
(4)新型感染症に感染する心配があり、予防のために免疫力を増強したい。
「最大の特徴は、自宅からオンライン(電話、LINE通話)で症状や既往歴、体質に関する質問を細かくさせていただき、そのうえで処方した薬をご自宅に郵送するというシステムです。これだと通院の必要も、感染などの心配もありません。ただし、現状では自費診療となります」(同)
現在、駐日イタリア大使館の関係者や、日本在住の外国人に漢方治療や医療アドバイスを行っている関係で、イタリアのインフルエンザの感染爆発と日本の違いを聞かれることがよくあるという。
「俗説では、イタリア人がハグや握手を頻繁にするからだなどと言いますが、そうではありません。医療資源の充実度や衛生状態などの違いはあるにせよ、どこの国に住んでいても、感染症に対する自衛手段として大事なのは、やはり自分の免疫力を高めておくことだと思います。漢方薬はこうした備えには極めて有用だと考えています」(同)
(構成=ヘルスプレス編集部)
金王坂クリニック
東京都渋谷区渋谷3丁目6-18 第4矢木ビル2F
03–5464-1234
「免疫強化外来」
URL:https://www.konnozakaclinic.com/service/
西大條 文一(にしおおえだ・ぶんいち)
金王坂クリニック院長
1986年東北大学医学部卒
1988年よりイタリア政府給費生としてミラノ大学に留学
公益財団法人研医会理事
イタリア大使館 嘱託医
日本性感染症学会認定医
日本医史学会会員
日本東方医学会会員
学士会会員
東北大学在学中より回春堂の故李慶鎬先生、温故堂の故橋本敬三先生に師事。
古代から現代までの東西の医学史、医療史の研究をベースに、最新の微生物学・免疫学と漢方医学の知識を融合(フュージョン)させた治療と臨床研究を行っている。