新型コロナ、漢方薬への注目度が高まる…漢方専門医が通院不要の「免疫強化外来」開始

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オンライン受診で免疫強化外来をスタート

 新型コロナウイルスに感染した場合、症状緩和にはどんな薬がいいのか。最近では、新型インフルエンザ治療薬「アビガン錠」や、エボラ出血熱への候補薬である抗ウイルス薬「レムデシビル」などの投与試験が始まり、急性膵炎の治療薬「フサン」の効果も研究が進みつつある。

 2月17日には、中国政府機関の一部門である中国国家中医薬管理局は、新型コロナ対策として中医薬の「清肺排毒湯」が効果的だと発表した。中医薬とは、いわゆる漢方薬である。すでにインフルエンザ治療での「麻黄湯」などがよく知られているように、感染症に対する漢方薬の可能性が注目されている。

感染症の特効薬がないときに、どう乗り切るか

 東京・渋谷にある漢方外来を専門とする金王坂クリニックでは、このほどインフルエンザや新型コロナウイルスなどを視野に入れた「免疫強化外来」を始めた。

 西大條文一院長は、これまでのインフルエンザ、ノロウイルス治療の経験をもとに、細菌学・免疫学の知識と漢方医学の知見を融合させ、自己免疫力を増強する漢方薬を中心に、症状に応じて西洋薬も組み合わせ、治療法の確立されていない未知の感染症への処方を実践するという。

 新型感染症の特効薬の入手ができない場合に、どのような対応ができるのか。西大條院長には、こんな経験があるという。

「私が老健施設の施設長をしていた時、入居者に感染症のような症状が出たことがありました。ノロウイルス様の嘔吐や下痢も頻発していました。数日間の休日が続き、血液検査もインフルエンザの迅速検査もできない。抗インフルエンザ薬のタミフルもなく、薬も限られている状態下で、施設内での感染爆発は絶対に防がなければならない。こういった状況で漢方薬をうまく併用して、一切の感染を出さずに乗り切った経験が何度かあります」

 具体的には、どんな漢方薬を使うのだろうか。

「たとえば、気を補う補気剤として有名な補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、六君子湯(りっくんしとう)などは貧血、食欲不振、疲労倦怠など慢性疾患による体力低下に使用されますが、補気剤は免疫賦活作用を有していて、種々の病態の改善に効果があると考えられています。そもそも漢方薬には、症状だけでなく、年齢、性別、体型、体質、ライフスタイルに従って、数百種類の処方がありますが、診察のなかで、一人ひとりにもっとも適した処方を組み立てていきます。何より、自己免疫力の増強をはかることこそ、感染症に打ち勝つための大きな目的です」(西大條院長)

 西洋薬では、「エリスロマイシン」など14員環系の抗生剤、「ビオフェルミンR」などの整腸剤に「ムコソルバン」「ムコダイン」などの去痰剤などを加える。さらに、解熱が必要な場合は「アセトアミノフェン」その他の解熱剤を処方するという。

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