難治性のむちうち症を改善 前編 東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩医師

画像診断できない難治性のむちうち症を独自の治療法で改善

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難治性むちうち症の解明をテーマに

「むちうち症の症状、特に全身症状は画像で異常が確認できないため、診断できません。そのため、症状が長期化したいわゆる難治性むちうち症の患者さんには精神科を紹介する例が多くみられます」
と、松井孝嘉理事長(脳神経外科)を中心とした研究チームで共に研究に取り組む川口浩整形外科・脊椎外科部長は語る。

 川口医師は、東京大学で骨・軟骨の先端研究と研究者の育成を行なったのち、JCHO東京新宿メディカルセンターの脊椎脊髄センター・センター長を務めるなど、脊椎外科医として、さらには骨研究の基礎・臨床の分野のトップランナーとして走り続けている人物で、松井医師が発見・確立した頚筋症の治療効果に驚きを受けたひとりだった。

「難治性むちうち症は、画像診断ができません。西洋医学では、目に見えないもの数字に表せないものは、研究・治療の対象となりません。そこで、症状に悩む患者さんがいても、精神的なものであると判断せざるを得ない場合が多いのです。しかし、実際には、患者さんは、精神科的な所見がなく、しっかりした判断力を持っている人も多い。難治性むちうち症の症状には、これまでの医学ではわかっていないが何かがある。そこで、私は、松井先生のもとで自分のテーマとして、この分野に取り組むことにしたのです」

不定愁訴が改善し、精神症状は全て解消

 論文では、2006年5月~2017年5月までの11年間に、東京脳神経センターと松井病院(香川県)を受診した交通事故によるむちうち症患者の中で、外来治療では治癒せず、なおかつ首以外の部位に2つ以上の愁訴を訴えて入院となった194名(男性82名、女性112名、平均年齢45.6歳)に、独自の治療を行った結果が発表されている。

 それによると、患者は入院時には、平均約13項目の不定愁訴を訴えていたが、退院時(平均46.1日後)には、約2項目に減少。また99%の患者が入院時には4つ以上の愁訴を訴えていたが、退院時には7.7%までに減少。16%は全くの無症状となった。

 いったいどんな治療方法が功を奏したのか。詳細は後編で。
(取材/文=増澤曜子)

川口 浩(かわぐち・ひろし)
東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長

脊椎外科医、基礎・臨床の骨研究のトップランナー。コネチカット大学内分泌科のLawrence Raisz教授の下に留学し、帰国後は臨床教室における先端研究システム運営のノウハウをいかし東京大学で骨・軟骨の先端研究と研究者の育成を行なう。
現在、臨床の現場から問題提起して研究を行い、その結果を臨床に還元する姿勢を堅持して、世界をリードする国際的医学研究を続けている。

東京大学 医学部卒業/医学博士(1985)
米国 コネチカット大学 フェロー(1991-1994)
東京大学 医学部 整形外科・准教授(2004-2013)
JCHO東京新宿メディカルセンター 脊椎脊髄センター・センター長(2014-2018)
2018年より現職。

Osteoarthritis and Cartilage 編集委員(2008-)
BMC Musculoskeletal Disorders 編集委員(2010-)
米国整形外科学会(AAOS) 最高賞Kappa Delta賞 受賞(2009)
米国骨代謝学会(ASBMR) Lawrence Raisz賞 受賞(2011)
Publications(peer-reviewed) > 300: Impact factor > 1,600

難治性むちうち症からなぜ多くの不定愁訴がおきてしまうのか?
難治性のむちうち症を改善 後編 東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩医師

前編『画像診断できない難治性のむちうち症を独自の治療法で改善』

原因不明で治療法がなく多くの患者さんが回復をあきらめていた難治性のむちうち症。東京脳神経センターで進む独自の治療で、めまい、動機、吐き気などの全身症状やうつ症状などの不定愁訴が大幅に改善しているという。その具体的な成果についてお話を伺った。

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