ジムではいつ運動すべきか?
進学・就職・人事異動などに伴う引っ越しが一段落する4月、新年度を機に“ジム通い”を決断する人は多い。フィットネスクラブも退会と入会が錯綜するこの時期に合わせてキャンペーンを行う。
しかし、入会はするものの継続できずに脱落する人もまた、多い。特に多忙なビジネスパーソンは、運動習慣の重要性を理解しつつも後回しになりがちだ。そこで継続する利点のひとつに挙げたいのが、「フィットネスは仕事後の疲労回復に有効」ということだ。
デスクワークでの脳疲労にこそ運動が回復に効く?
仕事後のフィットネスについて、フィットネスアドバイザーで株式会社ドリームゲート代表の村上勇氏に話を聞いた。
村上 特にデスクワークがメインの方は、仕事後にジムを活用してほしい。なぜなら、脳疲労に比べて身体疲労が少なくからです。体を適度に動かすことで、脳が休息しやすい状態をも作り出します。身体が適度に疲れると睡眠の質も向上し、結果、脳疲労も回復しやすくなります。
一日中ディスプレイを前に仕事をしていれば、背中が丸まり胸も閉じて、目線が落ちた状態が続きやすい。脳の疲労も溜まった仕事後に、軽く汗を流せばリカバリーできるのだ。翌日の職場でのパフォーマンスアップに繋がるに違いない。
村上 忙しい合間にフィットネスクラブに通う意志が継続する大きなモチベーションは、”カラダが変わっていく”ことの実感に尽きると思います。ぜひ、習慣化してほしいです。
寝る前の運動で眠れなくなるは本当か?
そこで、ひとつ気になるのは、「寝る前の運動(による興奮)は眠れなくなる」というよく聞く通説だ。そんな理由で夜のフィットネスを躊躇していた人も少なくないだろう。
だが、最近、それを覆す新知見が、「Experimental Physiology」(2月23日オンライン版)で発表された。豪チャールズ・スタート大学のPenelope Larsen氏らの研究報告によれば、夜の時間帯に30分間前後の高強度運動を行なっても問題なし。いわゆる「睡眠に悪影響を及ぼす」との通説は実験で覆され、さらに「空腹感が軽減する可能性」も示唆された。
研究では、総じて普段は座りがちな生活を送る中年男性11人を対象に実施された。具体的には、30分間の自転車による高強度インターバルトレーニング(=1分間漕いでは4分間休憩×6サイクル)を繰り返してもらい、その後の「睡眠」や「空腹感」、「食欲」を調整するホルモンへの影響を調べた。
11人が運動する時間帯は、①朝組(6~7時)/②午後組(14~16時)/③夜組(19~21時)の3つに分かれて実施された。その後の睡眠時間の長短に及ぼす比較検証では、②が最も長く、次いで③が続き、意外にも早朝から挑んだ①の効果が一番短いものとなった。
となれば「夜の悪影響」よりも「朝の悪影響」が真相とも取れそうだが、実際の格差はほんのわずかで、時間帯別(運動後)による入眠までの時間差も1~2分程度に過ぎなかった。しかし、結果的に「夜の運動の悪影響」は覆された。