生理用品はすべての女性の基本的人権であり生活必需品 海外では課税廃止も

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生理用品に課税されるべきではない?

 インドで生理用品の開発に奮闘する男の奮闘を描いた映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』が話題となった。この映画は生理用品を買えないインドの女性の苦境や、13億人もの人口を抱えるインドの苦悩を淡々と訴えている。伝統的なカースト制度がもたらす差別や貧困格差、ヒンドゥー教徒とイスラム教との対立、月経のタブー視などがインド人女性の人権を侵害と深く関係しているのだろう。

 一方、先進国の米国でも生理用品を買えない女性の悲惨な実情がある。

 米セント・ルイス大学のAnne Sebert Kuhlmann氏らの研究チームは、米ミズーリ州セント・ルイスに住む約200人の貧困層の女性を対象に生理用品の利用実態調査を行った。すると、「約3人に2人(64%)が過去1年以内に1回以上、経済的な理由で生理用品を購入できなかった」「約5人に1人(21%)が生理用品を毎月買えず、約半数(46%)が食品と生理用品のどちらを買うべきか悩むことがあった」という。この研究成果は「Obstetrics & Gynecology」2月号に発表されている。

生理用品を買えない状況は女性の雇用にも影響を及ぼす

 発表によれば、この調査は2017年7月~2018年3月にセント・ルイスで低所得者向けの地域サービスを提供する10団体が募集した女性183人(18~69歳)を対象に行われた。調査の結果、多くの女性が数十年間にわたって生理用品を買えない状況に耐えてきた厳しい実情が明らかになっている。

 Kuhlmann氏は「月経衛生に適切に対処することは決して贅沢ではなく、すべての女性の基本的権利だ。女性が社会活動や経済活動に参加するのを妨げる障害にもなる」と説明する。また、生理用ナプキンやタンポンが入手できない状況は経済的に貧しい女性たちの健康に悪影響を与えると強調。「家庭にいる女性の数が多ければ生理用品の購入費がかさみ、経済的な負担が重くなりやすい」と話す。

 生理用品を買えない状況は女性の雇用にも影響を及ぼし、参加女性の36%は生理用品が買えないことを理由に欠勤した経験がある。

 また、トイレットペーパー、ティッシュー、ペーパータオル、乳児用おむつ、使い古しの靴下、Tシャツなどの古布などで作った代用品を使ったり、生理用品を盗んだり、病院の救急診療科で分娩後の女性が使うナプキンを流用した女性もいるようだ。

 米ノースウェル・ヘルス・ハンティントン病院産婦人科のMitchell Kramer氏は、「世界で最も豊かな米国が示した衝撃的な統計データだ。医療従事者や専門家団体は政府に月経衛生の政策転換を強く訴えなければならない」と指摘する。

 一方、米スタテン・アイランド大学病院産婦人科のAdi Davidov氏は「低所得層が生理用品を購入しやすくする法規制を急ぐべきだ」と主張する。

 既にコネチカット州、フロリダ州、イリノイ州では生理用品への課税が廃止され、他の州でも権利擁護団体が課税廃止を要請している。

 Kuhlmann氏は「生理用品が非課税になれば、日常生活に必要な最低限の物さえ買えない女性に力強い支援になる。女性の誰もが生理用品を利用できるように女性医療に携わる医療従事者や専門家団体に対して政策の転換を呼び掛けたい」と語っている。

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