即席麺をめぐる日本の火傷事情
事実、日本人児童の火傷をめぐる、次のような調査報告がある。12年1月~16年10月の期間中、福岡・飯塚病院皮膚科を受診し、継続的に治療を受けた火傷患児105人を対象に調査したところ、即席麺関連で発生した件数が「約23%」を占めた。
問題は、この数値が海外論文で報告されている割合(=5.4%)に比べて突出して多い点だ。昨年開催の「第116回日本皮膚科学会」で報告した飯塚病院の村田真帆医師は、こう指摘している。
「軽症患者の場合は、緊急外来の受診のみで実際に皮膚科で治療する例は少ないため、一概に数値上の内外比較はできないものの、発生率は高いと言わざるを得ない」
インスタント食品は、カップ麺であれ、袋入り麺であれ、調理法自体は沸騰した湯を使用することに変わりがない。興味深いのは、火傷の発生時間帯だ。
先ほどの飯塚病院の報告によれば、火傷全体では昼食帯(11~17時)約32%よりも若干、夕食帯(17時~23時)約34%が高かった。
ところが、原因を即席麺関連に絞ると、昼食帯(約44%):夕食帯(約14%)に大きく逆転。火傷部位も違いが顕著だ。一般には腕が多いが、即席麺関連は「腕・胴体・脚部」の各部分が約30%に上るなど「広範囲にわたる」傾向がみられた。
大人がそばで見守る必要性も
一方で火傷を負う子は、「2歳以下」が66.7%ともっとも多い。お湯を注いだあとの待ち時間に、興味本位や不注意で器を倒して熱湯を浴びるケースを思わせる。
やはり、この年齢層の場合、上体から熱湯をかぶることも多いのだろう。火傷の箇所も広範囲に及ぶ。
「子どもたちがインスタント食品を食べる際は、大人がそばで見守る必要がある」(アレン氏)、「保護者は、即席スープなどには熱傷リスクがあることを十分理解しておくべき」(クーパー氏)、というのが両氏による呼びかけだ。
これから温かいものが欲しくなる季節に突入する。日清食品のサイト上にも、「やむを得ず電子レンジを使用される場合には、必ず電子レンジに対応した器に移し替えてください」とあるとおり、そのままでチンするのはリスクが潜むことも覚えておこう。
(文=編集部)