子宮内にもフローラがある! 検査結果で不妊治療や女性疾患に朗報が!?

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次世代シーケンサーを活用したベンチャーを開始

 この論文発表の翌年、日本でVarinos株式会社というベンチャー企業が立ち上がった。代表取締役の桜庭喜行氏と取締役&CTOの長井陽子氏はIllumina社日本法人に所属していたNGSの専門家だ。まずは産婦人科や生殖医療むけに子宮内フローラを解析するサービスを開始した。

 桜庭氏は「日本はゲノム医療の分野で海外から5年は遅れている。中国にはとっくに追い抜かれ、インドネシアやマレーシアなどにもすぐにおい抜かれてしますでしょう。

 Illumina社時代、NGSを利用した新しいビジネスモデルの確立を支援しようと国内でたくさんの企業を回ってみたが、経営層にはリスクを負って新しい事業に挑戦しようとする意気込みも主体性もまったくなかった」と振り返る。そこで自分でやるしかないと2017年2月に起業した。

「多くの医師に話を聞いたが、子宮の中の検査や治療では、超音波検査や子宮鏡などで子宮筋腫や子宮内膜ポリープを観察したり切除したりするという方法が一般的で、受精卵を移植する周期でも、超音波で子宮内膜の厚みを測る程度でした。子宮内膜に関する検査は未開の地でした。そこに医療への大きな貢献の可能性を感じました」(桜庭氏)

ラクトバチルスは悪玉菌が増殖しにくい環境をつくっている

 体内にはさまざまなフローラがあるというが、腟内フローラと子宮内フローラはどう違うのか、あるいは同じなのか? シーケンシングスペシャリストの長井氏は次のように説明する。

「腟内フローラと子宮内フローラの構成は個人差があるものの約8割が一致しています。ただし菌量がまったく違います。腟内のほうが圧倒的に菌の量が多い。そこで我々は、非常に微量な子宮内フローラの遺伝子解析技術を開発しました。さらに、ラクトバチルスと言っても、ラクトバチルスのどの種なのかを調べる検査も現在開発しています。技術力を高めることで、将来的には腟内の検査だけで子宮内フローラの判定が得られるような侵襲製の低い検査ができる可能性もあります」

 それでは、腟内でも子宮内でも高い占有率の常在菌のラクトバチルスの働きはどこまでわかっているのだろうか?

 長井氏によると「このラクトバチルスの代謝で乳酸が生成され、腟内pHを下げることにより、他の悪玉菌が増殖しにくい環境をつくっていると考えられています。他の菌が増殖してしまうと細菌性腟症という病気になり、雑菌が腟から子宮に到着すると、不妊の原因となる子宮内膜炎、卵管炎、骨髄腹膜炎が起きる可能性があります。細菌性腟症の妊婦では、自然流産や早産のリスクが増加するというデータもあります」と説明する。

 実は、日本でも前出の京野アートクリニックにおいて同様の研究が行われている。本邦初の体外受精(IVF)患者およびボランティアを対象とした子宮内細菌叢解析の研究成果がReproductive Medicine and Biologyに発表された。

 IVF患者では、子宮および腟に存在するラクトバチルスの割合が低く、非IVF患者や健常者ボランティアではラクトバチルスの割合が高い傾向にあることが明らかとなった。また、研究期間中に不妊治療を行っていた18名の患者で妊娠が成功し、妊娠した方の子宮内ラクトバチルスの割合は96.45%、腟内では97.80%と高いことから妊娠との関係性が強く示唆されている。(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6046523/)

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