尿失禁、セックス痛、膣の乾燥などの深刻な悩みは婦人科へ
いつまでも若々しく生きたい。女性器のアンチエイジングは、すべての女性の切望だろう。だが、過剰な情報の氾濫は、「腟の若返り術」のベネフィットとリスクの冷静な判断を迷わせる。
膣のゆるみ、腰痛、冷えは、膣まわりの老化が原因、膣内の細胞が活性化する膣ケアは欧米の常識、「見た目も機能も16歳に戻る、などとセンセーショナルに喧伝する情報が巷に溢れているからだ。「腟の若返り術」。その対策を簡単にまとめよう。
アメリカ形成外科学会(ASPS)によれば、閉経、母乳育児、化学療法、放射線療法などによって細胞がダメージを受け、エストロゲンが低下すると、膣内の状態が変化するため、膣の潤いや弾力性が衰える。その症状を改善する「腟の若返り術」は、膣の乾燥、失禁、セックス痛などを緩和するケアと、性器の形を変える美容手術に分かれる。
ノースウエスタン大学ファインバーグ医学部産婦人科のローレン・ストレイチャー臨床准教授(Prevention誌編集顧問委員)は、「膣の乾燥」の改善法を「性交時にシリコンがベースの潤滑剤を使うと滑りがよく、長持ちし、性器に炎症を起こしにくいので、推奨する」とアドバイスしている。
膣のモイスチャライザーは、膣の組織を厚く弾力を高め、自然な潤いが得られるので、週2~5回、膣の中の周囲に使えば効果がある。
膣用のエストロゲン製剤(クリーム、錠剤、リング)も、安全性と有効性が高い。膣に挿入して、潤いと弾力性を高める効果がある膣の座薬も選択肢になる。
そのほか、FDAが認可している医療用CO2(炭酸ガス)レーザー治療(施術できるのは婦人科医のみ)は、膣と外性器の細胞を刺激し再生する。
ただし、重要な注意点がある――。膣は強い自浄作用があるため、特に神経質になるほどに清潔に保つケアは必要ない。だが、更年期の症状、尿失禁、セックス痛、膣の乾燥などの深刻な悩みがあれば、婦人科の専門医に相談し、正しい診断を受けてほしい。それが「膣の若返り」の最善策だろう。
(文=編集部)