インタビュー「炭酸美容とはなにか?」前編:メディオン美容皮膚クリニック院長・日置正人氏

炭酸ケアの第一人者、褥創の治療経験から生まれた「炭酸ジェルパック」

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皮膚の代謝を高める「ボーア効果」とは?

それではいったいどのようなメカニズムで二酸化炭素が血行促進に結びつくのか?

「酸素は通常、血液中のヘモグロビンによって運搬されています。細胞内に酸素を送り込むためにはヘモグロビンから酸素を引き離さなければなりません。この引き離し役が二酸化炭素です。二酸化炭素によりヘモグロビンから酸素が切り離される作用は『ボーア効果』と呼ばれます。二酸化炭素分圧が高くなると、血管は酸素不足だと認識し、血管が拡張し酸素を放出し血流も増加、結果として代謝が高まるのです」と日置医師。

 しかし、炭酸の創傷治療効果に注目したものの、炭酸ガスは大気中に発散しやすいことから、実際に皮膚に届く量には限りが出てしまう。「もっと大量の炭酸ガスを効率よく、しかも簡単に患部に届けることはできないか」考え試行錯誤を繰り返し、ジェルに炭酸を封じ込めるという手法を思いついた。

 「あらゆる種類の造粘剤を片っ端から試し、長年の研究·開発の末たどり着いたのが、海藻の成分であるアルギン酸ナトリウムで作ったジェル状のパック剤でした。ジェルを使うことによって、中に閉じ込めることのできる炭酸の濃度を飛躍的に上げることに成功したのです。さらに、ジェルであれば、患部に塗りパックすることで、炭酸ガスが大気中に逃げることなく効率よく作用させることができるという利点もあります」

「炭酸ジェル」というまったく新しいドラッグデリバリーシステム(DDS)の誕生の瞬間だ。

 その後について日置医師は次のように話す。

 「こうして誕生した炭酸ガス入りジェルパックは何度も試作を重ね、安全性を確認し、皮膚潰瘍や創傷のケアに取り組むクリニックや医師に紹介すると、大きな関心が寄せられ、採用する医師が増え、改善症例の報告が集まってきたのです」
 
 しかし、日置先生の炭酸に対する取組みは続き、ジェルパックの効果が思わぬところに見出され、その可能性が広がっていく。次回は炭酸美容という新しい分野の確立について話を伺う。
(文=編集部)

炭酸ケアの第一人者、褥創の治療経験から生まれた「炭酸ジェルパック」の画像2

日置正人(ひき・まさと)
医療法人紘祥会理事長。日置クリニック院長。1981年、大阪市立大学医学部卒業。88年、大阪市立大学大学院医学研究科卒業。その後、城東中央病院内科部長を経て、93年、日置医院を開設。皮膚科・小児科・内科での診療の傍らアトピー性皮膚炎、円形脱毛症、美容に至るまで幅広い研究活動を展開、一般臨床医の立場から創薬を目指す。
「炭酸パック(CO2ジェル)」の開発者として知られ、美容皮膚、育毛などのアンチエイジングの分野で独自の理論を展開、数々の実績をあげている。著書に『炭酸美容術』(幻冬舎)、『ミトコンドリア不老術』(幻冬舎)、『20分で素肌美人になる』(現代書林)、『日置博士の新育毛理論 「脱毛因子ブロック」で髪はよみがえる!』(現代書林)などがある。

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