学術展示か?見せ物か?今も世界各国で開催されている「人体の不思議展」の功罪を問う!

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650万人もの日本人が感動?人権侵害の懸念や批判が沸騰!

 開催当初、「人体の不思議展 BODY WORLDS」の評価は高かった。日本では1998年まで各地で開催され、死体を輪切りにスライスにした標本、血管系だけを残した標本、胎児が子宮に眠る妊婦の標本、皮膚を剥がした筋肉の標本、バスケットボールをするポーズをとった標本などが展示され、関心を集めた。2012年の閉幕までに、およそ650万人が来場している。

 だが、死体の埋葬、解剖などの関連法に違反しないのか、人間の尊厳を侮辱しないのかなど、法律的・倫理的な人権侵害の懸念や批判が沸騰する。

 たとえば、日本医師会は死体解剖保存法違反を指摘し、山口県保険医協会や新潟県保険医会は法と社会通念にそぐわない展示会の中止を要請。京都府保険医協会は死体解剖保存法に抵触することを理由に主催者を告発。厚生省は人体標本を「遺体」とみなし、京都府警が標本管理に違反した疑いで捜査した。

 海外でも、フランスの裁判所などが展示会の中止を命令。チェコやイスラエルは、法的許可文書を提示しない人体展示を禁止。カトリック教会のロベルト・ツォリチュ大司教は「人間の尊厳は死後でも極めて神聖なものであり、人体を見せ物にしてはならない」と警告した。

死体を非人道的な手法で調達!?利益は2006年の時点で約9億ドル!

 このような逆風にもかかわらず、主催者は「実物の死体の解剖標本を陽のもとに晒して展示する」と標榜しつつ、その学術的な正当性と貢献性を強く主張してきた。

 だが、死体はどこから、どのように入手したのか、提供者は誰なのか、本人や家族の法的な同意を得ていたのかは判然としない。

 中国共産党の内政や外交問題を報道するグローバルな多言語メディア『大紀元』によると、ハーゲンス博士は、1999年に中国の大連市に「Von Hagens Dalian Plastination Ltd」を設立後、死体を非人道的な手法で調達。大連市に建設した数カ所の死体加工工場で従業員数百人がホルマリン液に浸した死体を取り出し、整理、切断、解剖、防腐、姿作りなどの処理を行い、プラスティネーションによる死体標本を量産した。

 『ニューヨーク・タイムズ』によると、ハーゲンス博士は、本人や家族の同意はいらない、新鮮な人体が大量に手に入り、医療技術を持つスタッフの人件費も安いうえに、供給された死体の加工処理の法的責任を問われる懸念はないことから中国を選んだと答えた。

 主催者は「死体の提供は同意を得ている」などと表示しているが、裏付ける証拠はない。協力施設に南京大学が表示されているものの、南京大学は否定している。死体標本の献体証明書の開示も一切ない。

 なお、ハーゲンス博士のプラスティネーション協会は、世界各地での展示会への標本貸し出しによって、2006年までに約9億ドル(990億円)もの巨利を得ている。

 では、その「死体ビジネス」の真相はどうなのか?

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