プラスチックゴミが海に溢れかえる日はそう遠くない(depositphotos.com)
夏の海辺で飲む冷たい飲み物は格別だ。そんな時に便利なペットボトル、紙コップの蓋やストロー、さらにフードのパッケージやトレー、レジ袋……。私たちがそうしたプラスチック製品を消費しない日は、ほとんどないと言っていい。
しかし近年、欧州やアフリカなどの世界各国で、使い捨てプラスチック製品に対する規制が急速に進んできているのをご存知だろうか。
スターバックスもプラストローを廃止へ
●フランス:プラ製の皿やカップを禁止する法律を2020年に施行。
●イギリス:ストローやマドラーを2019年にも禁止する方針。
●インド:容器や食器などの使い捨てプラスチックを2022年までに全廃する計画。
●ケニア、ルワンダ、カメルーン、エリトリア、バングラデシュ、ブータン、フランス、イタリア:レジ袋の使用を法律で禁止。
アフリカでは25カ国がレジ袋に対して禁止や有料などの規制を課しているほか、世界で60カ国を超える国が、レジ袋や発泡スチロール製食器などの生産禁止や、使用時の課金制度などを導入済みだ。
また、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は今年初め、2030年までに食品容器などを含む使い捨てのプラ包装材を全廃する方針を打ち出している。
国の規制を待たずに動き出した企業もある。食品大手のネスレ(スイス)は、2025年までに自社製品のプラ容器を再利用できる素材に変更。米コーヒーチェーン大手のスターバックスも先月7月9日、プラ製の使い捨てストローの使用を、2020年までに世界中の店舗で全廃すると発表している。
2050年に「プラゴミ」が魚の総重量を超える
世界が使い捨てプラスチック規制に動き出した背景にあるのは、年々深刻さを増しているプラ製品ゴミによる海洋汚染問題だ。
米科学誌『サイエンス』で発表されたジョージア大の研究チームの推計では、1950年以降に世界で製造されたプラ製品の総量は83億トンに達し、そのうち63億トンがゴミとして捨てられた。
しかも、近年の需要拡大を背景に、21世紀に入ってからの製造量がその半分近くを占めているという。
ゴミになった63億トンのうち1回でもリサイクルされたのはわずか9%。12%が焼却処分され、79%は埋め立て処分されたり、自然界にそのまま捨てられたりしていた。
そして、そのうち800万トンが、毎年、世界の海に流れ出て、ビーチだけでなく広大な海域を汚染している。現在、1億5000万トンのプラゴミが世界の海上にあると推測されている。
一旦、海洋に流れ出たプラゴミは回収困難で、分解されずに200年以上もの間、残る。世界経済フォーラムの報告書は、現状のレベルで海への流入が続いた場合、2050年には世界の海のプラゴミの重量が、魚の総重量を上回ると警告した。