海馬の石灰化に「糖尿病」や「喫煙」などが関連
喫煙習慣がある人や糖尿病患者は、記憶の形成や学習に重要な役割を担う脳の「海馬が石灰化」するリスクが高まる――ユトレヒト大学医療センター(オランダ)の研究チームの検討で分かった。
その一方で、「海馬の石灰化」の有無やその程度は、認知機能とは関連しない可能性も示された。研究の詳細は、『Radiology』(2018年6月12日オンライン版)に掲載されている。
この研究は、2009~2015年にオランダの一般病院の「メモリークリニック(物忘れ外来)」を受診した1991人(45~96歳:平均年齢は78歳)を追跡したもの。
頭部CT検査で脳の海馬の石灰化を評価し、認知機能検査や心血管リスク因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣)の評価を行い、海馬の石灰化に関連する因子と石灰化が認知機能と関連するかどうかを検討した。
解析の結果、対象患者の19.1%(380人)で海馬の石灰化が認められた。また、海馬の石灰化には「糖尿病」「喫煙習慣」「加齢」の3つの因子が有意に関連することが分かった(1年ごとのオッズ比は、それぞれ1.50、1.49、1.05)。
一方で、この石灰化の有無や程度と認知機能との間には関連はみられなかったという。