スナック菓子、カップラーメン……がんの発症リスクを上げる「超加工食品」とは!?

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食べる割合が10%増えると、がんが12%増

 

 研究グループは、フランスの栄養と健康の関連を調査するNutriNet-Santeコホート(2009~2017年)に参加した18歳以上の10万4980例(年齢中央値は42.8歳、約2割が男性)について、食品の摂取とその後5年間のがん(全がん、乳がん、前立腺がん、大腸がん)の発症状況を調べることにした。

 最初の2年間に、さまざまな食品3300種類について食事記録から摂取量を収集し、上記のNOVA分類による食品加工の程度に従って4つのカテゴリーに分類した。

 超加工食品をさらに細かく分けて摂取割合を調べたところ、最も摂取量が多かったのは砂糖を多く含む食品(26%)、次いで飲料(20%)、でんぷん質の多い食品と朝食用シリアル(16%)、過度に加工された野菜や果物(15%)の順だった。

 また、約5年のフォローアップの後、新たにがんと診断されたのは2228人。その内訳は、乳がんが33%(739人)、前立腺がんが13%(281人)、大腸がんが7%(153人)だった。

 そして、がんの発症率と超加工食品摂取量の関連性を検証した結果、食事中の超加工食品の割合(カロリーではなく重量ベース)が10%増加すると、がん全体のリスクが12%、乳がんを発症するリスクが11%有意に増加したという。

 一方、前立腺がんや大腸がんに関しては、有意な関連性は認められなかった。

 また、加工度の少ない加工食品(缶詰野菜、チーズ、包装されていない焼きたてパンなど)と、がんのリスクについては有意な関連性は認められなかった。さらに、生鮮品・わずかに加工されている食品の摂取量は、がん全体および乳がんの低リスクと関連していたという。

米国では総熱量の6割が超加工食品

 

 超加工食品が、がんになるリスクを上げるのではないかと懸念されている背景には、低栄養価や食品添加物、接触物質、熱処理によって発生する発がん物質など、さまざまな要因がある。

 先進国では超加工食品の摂取量が急速に伸びていることから、研究者たちは「食品加工のどのような面が、がんリスクに影響を及ぼすのかを今後明らかにする必要がある」と述べている。

 では、先進国では、実際どれだけの超加工食品を摂取しているのか?

 欧州、北米、ニュージーランド、ブラジルで行われた調査では、国民の1日のエネルギー摂取量の25~50%が超加工食品に由来することが示されている。特にアメリカでは2年前、国民栄養調査の解析によって驚くほどの超加工食品を消費していることが判明。

 アメリカ人は総摂取カロリーの58%、加えて砂糖の90%を超加工食品から摂っていることがわかった。

 世界保健機関(WHO)では、添加糖の摂取は1日当たりの総カロリーの10%未満を推奨している。アメリカ人が砂糖を減らすためには、超加工食品の摂取量を減らすことが急務だろう。

 もちろん私たちにとっても他人事ではない。忙しさのあまりに、日々の食事の半分を菓子パンやインスタントラーメン、缶コーヒーやデザートで済ませている人も決して珍しくはないはずだ。

 当たり前だが、人間の体は食べ物でできている。加工食品を買う時は材料表示がなるべくシンプルで、加工度の低い商品を選ぼう。また、時間のある時は新鮮な食材を使い、できるだけ一から食事を作るようにしたい。
(文=編集部)

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