「超加工食品」が「がん」の発症リスクを上げることが判明(depositphotos.com)
時代とともに、私たちの食生活はどんどん便利になってきた――。
街には至る所にスーパーやコンビニがあり、調理パンやお弁当、清涼飲料水、スナック菓子などがすぐに手に入る。目が回るほど忙しい仕事の合間でも、カップラーメンやおにぎりで手軽に空腹を満たせる。
農林水産省の「食料消費の動向」を見ると、2010年の全世帯における食料支出割合は、生鮮食品が27.8%、外食が21.7%に対して、加工食品が50.5%。全食料費支出の約半分が「加工食品」だ。
安くて日持ちが利き、簡単に食べられる加工食品だが、一方で栄養の偏りや食品添加物による健康への悪影響を懸念する声は以前から根強くある。
なかでも「超加工食品(ultra-processed food)」と呼ばれるものについては、従来の研究で、肥満、高血圧、コレステロール濃度との関連が示唆されてきたが、摂取と疾病リスクとの関連を示す疫学的なエビデンスは十分ではなかった。
ところが今年になり「食事の中で超加工食品の割合が10%増えると、全がん及び乳がんリスクが10%以上有意に上昇する」ことを、フランス・パリ第13大学のThibault Fiolet氏らが、大規模コホート研究の結果で報告し注目されている。
みんな普通に食べている「超加工食品」
ところで「超加工食品」とはどんな食べ物のことだろうか? 今回の研究では、食品を加工程度に基づいて分ける「NOVA分類」を用い、次の4つのカテゴリーに分けている。
①超加工食品
大量生産され包装されたパン、スナック、菓子やデザート、炭酸飲料や加糖飲料、ミートボールやチキンナゲット、保存料を添加した肉加工品、即席ラーメンや即席スープ、冷凍食品、常温保存できる調理済み食品、家庭で調理する時は加えない添加物(水素添加油脂、加工でんぷん、たん白質加水分解物など)や砂糖や油脂を非常に多く含む食品。
②加工食品
塩分を添加した野菜の缶詰、砂糖でコートしたドライフルーツ、塩蔵肉、チーズ、包装のない焼きたてパンなど、家庭で調理に使う材料のみをある程度添加した食品。
③加工食品材料
家庭で最小限の加工食品を調理する時に使われる、塩、植物油、バター、砂糖、その他の食材から抽出された材料。
④生鮮品・わずかに加工されている食品
野菜、果物、豆類、米、パスタ、卵、肉、魚、牛乳など。
この基準でいくと、現在コンビニやスーパーで売られている加工食品の多くが「超加工食品」に分類されることになりそうだ。