シリーズ「子どもには絶対に使ってはいけない生活用品」36回

EUで大論議を巻き起こしているリン酸塩の危険性を検証する!

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「リン酸塩」を使用する目的は?

 リン酸塩を使用する目的は、概ね以下の6点が挙げられます。

①金属イオン封鎖作用として、たとえばビタミンCの分解防止、天然色素や合成着色料の退色、変色防止、金属イオンの臭みと味の除去などの効果がある。

②分散作用として、水に溶けにくい物質を安定した懸濁液(ケンダクエキ:固体の微分子が液体中に分散している混合物で泥水、墨汁、印刷インキなどは懸濁液)として分散させる効果がある。たとえば、色素の凝集を防いで分散させたり、乳化性食品の安定化に役立つ。

③難溶性の物質が結晶化して、分離するのを防ぐ結晶生成防止作用もある。

④たんぱく質や高分子物質に作用して、水との親和性、保水性を高めるため、食品を柔軟にすることで品質を改良する。

⑤pHの緩衝剤としてもpH変化を抑える効果があり、風味の向上にも有効。

⑥酸化防止剤の協力剤となる。

 この他、リン酸塩には増量効果もあります。たとえば、コーヒー豆の抽出に使えば、通常の3倍の量のコーヒーが作れます。

リン酸の製造方法

 次にリン酸の製造方法について説明します。

 食品添加物用のリン酸は、乾式法で作られたものが使われます。乾式法とは、水などの通常の溶媒を用いずに、固体のみを加熱して行わせる反応です。黄リンに空気を通じて酸化させ、生成した五酸化リンを水に吸収させて作ります。

 リン酸は、酒造用酵母の栄養源として仕込み時、酒母製造中に用いられるほか、コーラ飲料の酸味料に用いられますが、リン酸の用途でいちばん多いのが、リン酸塩の原料です。

 こうして作られたリン酸やリン酸塩ですが、様々な毒性がこれまで指摘されています。たとえば、ラットに0.4〜0.75%の添加飼料を、3代にわたって投与したところ、歯の摩耗が著しかったとの報告があります。

 ヒトのリン酸の1日必要量は0.7~0.8グラムですが、通常の食生活なら食物から1.5~2.0グラム摂取をすることができ、リン酸が不足することはありません。

 ところが、あらゆる食品にリン酸はリン酸塩として添加されています。過剰摂取は明らかで、過剰摂取した場合の毒性は、大きな問題です。リン酸の摂り過ぎは、カルシウムの利用を悪くし、副甲状腺機能亢進症や石灰沈着、骨のカルシウムを減少させるなどの骨代謝障害を起す恐れがあります。また、鉄の吸収を妨げ、貧血などの原因になります。

 リン酸二カリウムは、リン酸と水酸化カリウムを反応させて作ります。ほとんどがラーメンの麺にシコシコ感を出す添加物の「かんすい」の原料になります。150日間のラットの実験では、腎肥大が見られています。

 ピロリン酸ナトリウムは、縮合リン酸塩のひとつです。ソーダ―灰とリン酸を反応させて得たリン酸二ナトリウムを加熱脱水させたものが無水物で、無水物を溶かして結晶となったのもあります。単品で使われることはまずありません。他の縮合リン酸塩と一緒に使われます。ラットの長期間の実験で、腎石灰症が確認されているように、ピロリン酸の毒性は血液からカルシウムを取り去って、沈殿させることです。

 ポリリン酸ナトリウムは、単品で使われることはなく他の縮合リン酸塩と混合製剤として販売されます。毒性はラットの実験で腎石が生じています。

 メタリン酸ナトリウムは、縮合リン酸塩の中でもっとも広範囲な食品に使われている結着剤です。ラットの1ヶ月の実験では、発育遅れ、腎重量増加、尿細管炎症が見られています。

食品業界に横行する「リン酸塩隠し」

 最後に、私たちが気をつけなくてはいけないのは、食品業界に横行する「リン酸塩隠し」です。リン酸塩は消費者の不安が強い代表的な食品添加物です。そのために、原材料名表示に「リン酸塩」が記載されないように、「アミノ酸等」として使用する業者が非常に多くなっています。

 つまり、グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムなどの化学調味料と一緒に使い、「アミノ酸等」として表示するのです。

 食品衛生法では「アミノ酸等」に無機塩も使用できることになっているので、無機塩であるリン酸塩を使用しても違法行為ではありません。

 しまし、数年前までは、そんなことは行われていませんでした。食品の原材料表示名に「アミノ酸等」の記載があったら、食べないほうが無難です。
(文=郡司和夫)

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郡司和夫(ぐんじ・かずお)

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

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