脳卒中の警告サインは「F.A.S.T」
●Face:顔の麻痺(顔がゆがんだりする)
●Arm:腕の麻痺(腕に力が入らず、だらりと下がったままになる)
●Speech:言葉が出ない、ろれつが回らない
●Time:発症時刻
まずは、上記3つの症状の有無こそが分かれ道というわけだ。当サイトの追悼記事(西城秀樹さんが怠った水分補給の大事~脳梗塞は夜間~早朝、夏と冬に多い)でも、西城さんに「F.A.S.T」が生じていたことがわかる。http://healthpress.jp/2018/05/post-3640.html
そしてASAは、「F.A.S.T」の「Time:発症時刻」の確認を強く呼びかけている。
この「T」で連想するのは、当サイトでも紹介した、西城さん自身による闘病談話の数々だ。その折々の述懐コメントでは、脳梗塞を発症したときの模様をかなり正確に語り遺している。一例を挙げよう。
「問題は2回目の脳梗塞です。2011年の12月、朝、自宅で寝室のある2階から1階に降りようとしたら足元がもつれて階段から転げ落ちた。その日はリハーサルも問題なくこなしたけれど、ろれつもおかしいというので、仕事を終えてからかかりつけの病院に行ったのです」(日刊ゲンダイ:2015年07月09日付)
どうだろう、この再発時の述懐から、バイスタンダー(発見者、同伴者等)の存在や、初回時の教訓を迅速に活かした対応ぶりが、伝わってこないだろうか。
そして西城さんは、その苦い体験から得た(自信派ほど陥りやすい)健康リスクの勘違いと改善点、とりわけ水分補給の大切さなどを伝えてきた。
西城さんを偲び日本も5月を予防月間に……
ASAは、「誰もが脳卒中になる可能性があり、その準備をしておく必要がある。『F.A.S.T.』を知っていれば、脳卒中は守れるかもしれない」と「F.A.S.T」警告サインの重要性を訴えている。
さらに補足されている症状中の1つ、「ふらふらして歩けなくなる」などはまさに、西城さんが見舞われた(=語っている)部類だ。
今年の予防月間でASAは、「脳卒中が疑われたら、直ちに救急車を呼んで専門病院を受診することが先決」と警告。たとえ症状が軽くても「患者本人や家族が車を運転して病院へ行くことは危険な上、時間のロスにもつながるので止めるよう」と具体的に助言している。
西城さんの訃報がいまだ記憶に新しい私たちも、彼が語り遺した脳卒中の怖さを教訓に、例年5月を自らの生活習慣を見直す機会とするのも追悼の在り方かもしれない。
(文=編集部)