認知症は予防できない? 「長生きの証」というポジティブな考えもある

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

認知症、親の介護はこんな現実

 

 そして、いつか必ずやって来る「別れ」には、どう対処するべきか?

 本書では「認知症専門病棟」と「グループホーム」というそれぞれの立場から、看取りまでのステップが書かれている。無駄な延命措置をすることなく、穏やかに最期の時を迎えられるような配慮が感じられる。

 日本のほとんどの介護施設では、体調が悪くなった入所者は病院に移されるのが主流だが(そして無駄な延命治療が始まる)、武田純子氏のグループホーム「福寿荘」では、訪問診療医との連携により施設内で看取りまで行う。親を介護施設に入所させる際には、終末期を迎えた場合の対処法を確認しておくべきだろう。

 このほか、徘徊や弄便、盗食など、認知症の人によく見られる問題行動の理由も記されているから、本書を読めば、実際にその場面に直面しても、慌てることなく対処できるようになるのではないだろうか。

 また、海外の終末期医療の視察など興味深いレポートの寄稿もあり、認知症と、認知症を取り巻く現実について深く理解することができる。現在、認知症の親を介護している人はもちろん、将来、親を介護する必要に迫られる可能性のある人も、ぜひ手にとってほしい書籍だ。

 共著者の一人、宮本 礼子氏が2015年に夫の宮本顕二氏との共著で出版した『欧米には寝たきり老人はいない 自分で決める人生最後の医療』(中央公論新社)も合わせて読むことをお勧めする。このサイトでも以前に取り上げたので(参考:終末期医療のタブー!? なぜ欧米にはいない「寝たきり老人」が日本は200万人もいるのか?)、興味のある人はぜひ見てほしい。
(文=編集部)

バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子