制御不能のスーパー淋菌!? 薬が効かない「悪魔の耐性菌」 毎年2万人以上が米国で死亡

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「悪魔の耐性菌」で毎年2万人以上が米国で死亡(depositphotos.com)

 ここ数年、抗菌薬(抗生物質)が効かない「薬剤耐性菌」に対する危機感が世界で最高レベルに強まっている。2016年9月に開催された国連総会では「世界にとって最も大きく、最も切迫したリスク」と宣言された――。

 そして今年1月には、ある英国人男性が、史上最悪の「スーパー淋菌」に感染していたことが明らかになり、人々に衝撃を与えた。

既存の薬が効かない「スーパー淋菌」

  

 患者の英国人男性は2017年、アジアで女性と性的関係を持った際に感染したと見られている。その1カ月後に性病の症状が現れたため、2018年のはじめに英国の医療機関を受診した――。

 淋菌に感染すると、男性は排尿時の痛みや性器からの分泌物などの症状が現れる。通常は淋菌に感染しても死に至ることは稀だが、放置すると不妊や流産のリスクを高めることがわかっている。

 発症後、この男性は第一選択薬の抗菌薬である「アジスロマイシン」と「セフトリアキソン」による治療を受けたが効果がなかった。性感染症の専門家によれば、「これら2種と既存のほとんどの抗菌薬に対して、これだけ強い耐性を示した症例は今回が初めて」だという。

 その後、男性には「エルタペネム(日本未承認)」という結腸や直腸の外科手術の感染を予防するために用いられる抗菌薬が投与され、結果的に奏功したと見られている。

淋病は近い将来、制御不能に?

  

 実は今回の「スーパー淋菌」の感染報告は、感染症の専門家の間では想定内だったという――。

 米アラバマ大学バーミングハム校のEdward Hook氏は「淋菌感染症の治療に抗菌薬が用いられるようになった当初から、淋菌は薬剤耐性を獲得し始めていた。だからこのような事態になることは予想されていた」と説明する。

 またWHO(世界保健機関)の生殖医療専門医テオドラ・ウィ氏は、「淋菌は頭が良い。淋菌は新種の抗菌薬を投与するたびに、新たな耐性を獲得する」と述べている。

 WHOが昨年77カ国のデータをまとめた報告書によると、従来の抗菌薬が効かない淋菌は急増しており、淋病自体が制御不能になる恐れもあるという。

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