震災バブルで集まった医師たちの撤退が止まらない 南相馬市立総合病院の深刻な医師不足

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南相馬市立総合病院が目指すのは、日本の行く末を見据えた先駆的な地域病院

 震災跡地というこの場所には、新しい価値観を見出した医師が残っています。すべての診療科を揃えて、救急患者に備えようとするよりも、ここでしか作れない固有の文化価値を持つ医療をどれだけ生み出すかが被災地病院を支えていくための基礎になります。この病院の目指す方向は、日本の行く末を見据えた地域病院としての先駆的な取り組みです。

 そのような文化価値を有する医療の創出には、「訴えのはっきりしない高齢患者を正しく理解する『見識力』」「健康管理の責任者は、まずは自分であると自覚させられる『指南力』」「無理な延命よりは、患者本人の自分らしい生き方を考えられる『想像力』」「さまざまな異なる悩みを共有できて、解決の糸口を探れる『共感力』」――。

 「最終的には、総合病院に駆け込むことだけが大切だ」と教え込ませる医療ではなく、その人らしい生き方を適用していける「やり過ぎない医療体制」です。私たちは前向きに衰退するために、寂しさと向き合いながら、歯を食いしばってこの課題に取り組まなくてはなりません。

 震災バブルで集まった医師たちでしたが、ここへきて完全に弾けました。早晩、南相馬市立総合病院の内科部門は立ち行かなくなります。

 被災地の地域病院は再び崩壊へと向かうのでしょうか? それとも起死回生はあるのでしょうか?

 残念ながら、いまのところ有効な対処法はありません。多くの苦難が予想されますが、決して絶望はしません。4月から新しい初期臨床研修医も2名やってきます。第2ステージへと進みつつある、この街の医療の行く末を、もう少し見届けたいと思います。それまで、どうか再びのご支援を賜りたいと願っています。
(文=小鷹昌明/南相馬市立総合病院・神経内科)

医療ガバナンス学会発行「MRIC」2018年3月14日より転載

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