警察庁は2016年2月10日現在、東日本大震災による死者は1万5894人と発表(shutterstock.com)
2016年2月10日、警察庁は、3.11東日本大震災による死者1万5894人、重軽傷者6152人、警察に届出があった行方不明者2562人と発表した。
2016年1月4日付け毎日新聞の報道によれば、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による震災関連死と認定された人は、昨年12月28日現在、福島県2007人、岩手県455人、宮城県918人。
被災3県でも福島県で多発している。福島県の震災関連死は、地震や津波による死者・行方不明者3835人の半数以上を占めていることが分かる。
震災関連死とは何か? 津波や家屋倒壊などの災害の直接的な被害ではなく、長期の避難所生活による過労やストレス、住環境やQOL(生活の質)の劣化などが誘因となり、発病や持病の悪化などによって死亡する非常事態をいう。
復興庁は、震災関連死の死者を「東日本大震災による負傷の悪化などにより死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、当該災害弔慰金の支給対象となった者」と定義する。遺族の申請を受けた市町村の審査会が災害と死亡の因果関係を判断して認定している。
震災から5年、なぜ震災関連死は減らないのか?
復興庁のデータによると、2016年1月14日現在、約17万8000人の避難者のうち、岩手県、宮城県、福島県の3県に約12万8000人、それ以外の都道府県に約5万人が避難所生活を続けている。
震災関連死の原因は何か? 復興庁によれば、避難所生活の肉体・精神的疲労が約3割、避難所などへの移動中の肉体・精神的疲労が約2割、病院の機能停止による初期治療の遅れなどが約2割だ。
また、岩手県、宮城県、福島県の3県の震災関連の自殺者は、2011年6月から2015年11月末現在で154人。2011年には宮城県で22人、岩手県で17人だったが、昨年には宮城県で1人、岩手県で2人に減った。だが福島県は、2011年には10人、2014年1には5人、2015年には19人と漸増。3県全体の自殺者の半数以上を福島県が占めている。
これらのデータを見るまでもなく、津波と原発事故に伴う先行きが見えない避難所生活が被災者の心身に甚大なストレスや悪影響を及ぼしているのは明らかだ。