過食に走りやすい魔の時間帯は……
さらに、冷水テストの30分後には、ピザやスナック菓子、クッキーやキャンディなどが盛られて自由に選べるビュッフェ形式で被験者らに食事が提供された。そして、実験参加者のグレリンおよびペプチドYYの血中濃度が追跡測定された。
その結果、量も種類も同じ流動食を摂取させても、午前中/夕方という時間帯別の食後比較では、夕方のほうがグレリン(飢餓ホルモン)の血中濃度が上昇を示し、ペプチドYY(充満ホルモン)の血中濃度は低下する事実が読み取れた。
また、2分間の冷水ストレス検査結果としては、のちのグレリン血中濃度の上昇現象が「夕方の時間帯のみ」に確認された。加えて、これらのホルモンが「食欲に及ぼす影響面」については「(半数を占める)むちゃ食い障害のある人々でより大きい」との傾向も示唆された。
「1日の中でも夕方から夜間の時間帯に、ヒトは過食に走りやすい傾向が今回の研究で示された。とりわけストレスを感じていたり、ふだんからむちゃ食いを止められない人の場合、そのリスクが高くなると考えられる」(Carnell氏の見解)
ただでさえ、アフターファイブの人間はリラックスしやすく、時には酒の誘いにも応じれば、その流れで暴飲暴食にも結び付きやすいもの。古くから昼と夜の移り変わる灯ともし頃は「魔物に遭遇する」時間帯と迷信されて、日本語では「逢魔時(おうまがとき)」と名付けられてきた。
ならば、ダイエット志向者にも、食欲が暴走しやすい日暮れ以降は「逢魔時」だろう。毎日、黄昏時を迎えたら、「節食」の二字を自分に言い聞かせると、少しは魔の誘いを妨げられるかもしれない。
(文=編集部)