本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言! 第4回

『アンナチュラル』 死体が語る、くも膜下出血の本当の原因と発症時期の真実

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『アンナチュラル』 死体が語る、くも膜下出血の本当の原因と発症時期の真実の画像1

ドラマ『アンナチュラル』第4話はクモ膜下出血(depositphotos.com)

 日本では法医学者不足や法律のしばりなどにより不審死の90%以上が法医解剖されていない事実があるらしい…という事実を皆さまご存知でしょうか?
今回も、冒頭のプレゼンで、「事故は解剖されない…」とミコトが語っていました。

 UDI(Unnatural Death Investigation)のような死因究明のためだけの研究所は、海外にはあるらしいですが日本には存在していません。ドラマを見ていると未来の理想形のように感じてしまいます。

見逃される可能性のある殺人事件

 もし自分が不審死をしても、法医解剖されずに終わってしまう可能性もあるわけです。もしかしたら殺人が見逃されている可能性がゼロではない、というわけです。死因によっては、保険金、賠償金などの大きな支払いのための動かぬ証拠となります。こうした真実を導くことのできるのが法医学なのです。

 重い題材ですが、法医学者は日々こんな重責を背負って仕事をしているのですね。このドラマ、案外すごい!今までの中では第4話が私の中では一番熱かった!

 ご遺体の解剖所見を取っていたミコトは、細かく「擦り傷」と「擦過傷」の両方の言葉を使っていましたね。

 これ、とても大切な事なのです。表層の傷の表現方法の違いで、我々はどんな傷か、そして治療内容が保険適応かどうかまで理解できます。皮膚が開いた傷は「創」、開いてない傷は「傷」と表現します。擦過傷と擦過創といった感じです。

 例えば外来処置で麻酔を使用して汚い傷を綺麗にする「デブリードメント」という処置は「創」の病名が付かないと保険請求できません。細かいけど、臨床の現場でも医者が連携を取って治療継続していく上では大切な事なのです。

 いわゆるやけど(熱傷)もその表現の仕方は、一度熱傷から三度熱傷まであります。その書き方ひとつで、やけどの深さと治っていくときの感じも判断ができるのです。やけどの範囲はパーセンテージで表現します。上腕一本が10%とかという感じ。医療現場では案外、言葉使いが重要なのです。

 そして、死因判別の今回のカギにもなったくも膜下出血。

 くも膜下出血は外傷性とそうでないものもあります。生きている人であれば、大抵が急激な頭痛で発症するので診断に導きやすい疾患ですが、死後は症状の訴えがないので、ホルマリン固定前に、脳の動脈を傷つけないように取り出して、出血部位を探っていかなければなりません。動脈瘤があったのか?奇形があったのか?はたまた動脈の破綻だけなのか?

 もし、破綻した動脈瘤が見つかったとしても、運転中にくも膜下出血で事故になった場合には、動脈瘤が破裂しての出血か、あるいは外傷により動脈瘤が破裂したのかを判断しないと死因にはたどり着けないのです。日々、こんな大切で責務の重い仕事をされている法医解剖医の先生方。同業者として尊敬します。

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