肥満や2型糖尿病などの生活習慣病の元凶は「孤独」にある!
独居や社会的サポートの不足が2型糖尿病リスクを高める!
この知見は直感的に分かりやすい。なぜなら、人間が社会的動物ならば、社会から孤立して生きられないので、心身のバランスやホメオスタシス(生体恒常性)が阻害されやすいからだ。肥満や2型糖尿病などの生活習慣病の元凶は「孤独」にあるのではないか。
WHOによる世界189の国と地域を対象とした成人の肥満率ランキング(2008年)によれば、日本は166位(4.5%)と、アメリカほど深刻でないように見える。
だが、肥満による死亡よりも、「社会的孤立」や「孤独」による死亡のほうがリスクが高いとするアメリカ心理学会(American Psychological Association)年次総会の発表がある(「So Lonely I Could Die」August 5, 2017)。発表によると、30万人のデータを分析した結果、社会的孤立または孤独になっている人の早死にのリスクは、そうでない人よりおよそ5割も高い。また、北米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアに及ぶ340万人から集めたデータを分析した結果でも、同じく孤独やひとり暮らしの人は、早死にするリスクが高い。
チームを率いるブリガムヤング大学心理学教授、ジュリアン・ホルト-ランスタッド博士は「社会的孤立や孤独が早死にに繋がるリスクはすでに肥満など他の主要な疾病を超え、多くの国が孤独の流行病に直面している。コミュニティ・ガーデンや憩いの場など、人々が社会的なつながりを持てる場を創設するべきだ」と強く指摘している。
運動不足や肥満が原因になる2型糖尿病を予防するのも、孤独を克服するのも難題だ。
だが、希望はある。家族を愛する。友人と付き合いを深める。趣味やライフワークを広げる。高齢を迎える前に、退職する前に「自立した生き方」を考えておきたい。
(文=編集部)