「湯たんぽ療法」で、線維筋痛症の35%、慢性疲労症候群では42%が治癒
厚生労働省(当時は厚生省)の「慢性疲労症候群研究班」が組織されたのは2003年。それより6年も早くから、班目医師は東京女子医科大学の東洋医学研究所で線維筋痛症と慢性疲労症候群の治療に携わってきた。
「治療を始めた頃は、漢方治療を試みましたが、線維筋痛症の患者さんは実質的には治せませんでした。慢性疲労症候群の患者さんでは、100人に1人がようやく治る程度でした」
東洋医学研究所での9年にわたる臨床経験で治療に改良を重ね、班目医師がたどり着いたのが「湯たんぽ療法」である。湯たんぽで体を温め続ける療法で、詳しくは前回「大事なのは「体を温める」習慣!「湯たんぽ療法」で「原因不明の痛み」や「自律神経失調症」を改善」を参照してほしい。
『痛みを取りたければ体を温めなさい』(マキノ出版)(depositphotos.com)
「湯たんぽ療法を加えることで、線維筋痛症の35%、慢性疲労症候群では42%が治癒しています」と班目医師は語る。
班目医師が製作協力した『痛みを取りたければ体を温めなさい』(マキノ出版)には、全身の激痛や激しい疲労感から解放された体験例が紹介されている。医療機関をあちこち回っても改善しなかった症状が徐々に消えていき、薬の量を減らせたり、仕事に復帰できたりした人もいる。
「湯たんぽで体を温める」という療法は、シンプルでお金もほとんどかからない。線維筋痛症も慢性疲労症候群も「改善する」という希望を捨てずに、ぜひ湯たんぽ療法を試してほしい。
(取材・文=森真希)
班目健夫(まだらめ・たけお)
青山・まだらめクリニック院長。1954年、山形県生まれ。1980年、岩手医科大学医学部卒業後、同大学院(病理系)進学、第一内科入局。84年、医学博士号取得。東京女子医科大学附属東洋医学研究所勤務、同大学附属成人医療センター兼務、同大学附属青山自然医療研究所クリニック勤務を経て、11年に青山・まだらめクリニックと自律神経免疫治療研究所を開設。西洋医学の専門領域は肝臓学、消化器内科。西洋医学と東洋医学などを融合させた統合医療を研究、実践している。
森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。