多感な思春期にありがちな行為?
ネット自傷行為に及んだ理由については、「自己嫌悪のため」「注目されたい」「気持ちが落ち込んでいるため」「自殺したい」「周囲から面白がってほしい」などの回答があがった。
Hinduja氏はこの結果をふまえ、「身体を傷つける自傷行為と同様、ネット自傷行為も自殺の前触れである可能性がある」ことに触れ、「このような行為に及ぶ背景やオフラインでの自傷行為及び自殺行動との関連について、さらなる研究を行なう必要がある」と述べている。
もっとも、多感な思春期にネガティブなことを考えたり、書いたりするのは、ある意味で普通のことだともいえる。ネットがない時代にも、少年少女たちは詩や日記を書くことで、自分の内面の闇を言葉にしてきたのではないだろうか。
いまでも「中二病」という言葉があるとおり、この時期の少年少女は、後から振り返ると恥ずかしくなるようなことで悩んだりするものだ。
監視社会につながりかねないネット社会のジレンマ
しかし、その中にも、深刻な自殺願望を示すものが含まれているとしたら、なんらかの対策が必要かもしれない。
とはいえ、ネット上のつぶやきをチェックして本人を特定するのことは、ネット「監視社会」が本格的に始まることにもつながりかねない。「ネット自傷行為」にどのようなアプローチをするべきかは、慎重な議論が待たれるところだ。
いずれにせよ、ネット上に自分の思いを表現することは、「不特定多数の目に触れ」、場合によっては「いつまでも残る」という点で、かつてのような日記に思いを綴る行為とは、まったく異なる性格を持つ。座間市の殺人事件のように、現実の世界にも悲劇をもたらすとしたら、一刻も早い対策が必要だ。
(文=編集部)