LGBTが理解できない人へ 映画『恋とボルバキア』性別を超えた生き方

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「生きたい」と思える姿を記録した映画『恋とボルバキア』

 そんななかで、LGBTと呼ばれる人たちの素顔を赤裸々に映し出したドキュメンタリー映画が公開されることになった。12月9日よりポレポレ東中野ほか全国で順次公開される『恋とボルバキア』は、男性として生まれながら、女性の心を持つ8人が登場する。

 お洒落がしたくて女装を始めるうちに、遠く離れた男性に遠距離恋愛をするようになった人。14歳のときに身体の女性化が始まったが、自分が自分でなくなるような気がするからと、ホルモン治療を受けずに暮らす人。少年時代の自分を引き取ってくれた養父への恋心から、女装をするようになった人……。

 ひと口にLGBTと言うが、男性として生まれ、女性として生きることを選んだ人たちだけに限っても、その有り様はなんと多彩なことか。

 そして、自分の性を自分で選ぶということは、ホルモンを投与するか、手術をするか、女装や化粧をするか、パートナーとはどのような関係を築くかといった、さらなるいくつもの選択をしなければならない道のりであることが、この映画を見るとよく分かる。

 だが、自分が「こう生きたい」という気持ちにどこまでも正直に生きる「彼女」たちが時折見せる心からの笑顔は、観客席にいる者がドキッとするほどに輝いている。

「未だによく分からない部分があります」

 中には「LGBTはいまいち理解できない……」と思っている人もいるかもしれない。そういう人こそこの映画は見る価値がある。

 この作品の監督・撮影・編集を手がけた小野さやか氏すら、インタビューで「正直にいうと、彼女たちがなぜ自分の性に対して強く悩み、わざわざ苦労するような人生を選ぶのか、未だによく分からない部分があります」と語っているのだ。

 だが、自分には分からないものに時にたまらなく惹きつけられてしまう。それもまた、人間が持っている本能とも言える感情なのだ。
(文=里中高志)

『恋とボルバキア』
公式HP:http://koi-wol.com
出演:王子、あゆ、樹梨杏、蓮見はずみ、みひろ、井上魅夜、相沢一子、井戸隆明
監督・撮影・編集:小野さやか
製作:DOCUMENTARY JAPAN/LADAK/Blue Berry Bird
配給:東風
©︎2017「恋とボルバキア」製作委員会

里中高志(さとなか・たかし)

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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