企業の格付けを行う米国最大のLGBT支援団体ヒューマン・ライツ・キャンペーン(公式HPより)
今やセクシュアル・ダイバーシティ(性の多様性)を尊重し、セクシャル・マイノリティ(性的少数者)であるLGBTの権利を保護するのは、グローバル・スタンダード(世界標準)になっている。LGBTは、上司や同僚、取引先や顧客、家族や友人や恋人、消費者として社会生活を営んでいる。国や自治体も企業も個人も、LGBTのアライ(Ally:LGBTの理解者や支援者)として行動するのは、自然な流れだ。
北米日産のLGBTへの対応は100点満点中30点!
2012年、ある"事件"が米国で起きる。
米国で最大のLGBT支援団体のヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)は、日産自動車の現地法人、北米日産に対して「100点満点中30点」の低いスコアを付けた。トヨタ自動車やフォード・モーターなどの競合各社は、ほぼ100点。何が起きたのか?
HRCは「コーポレート・イクオリティ・インデックス」という基準を作成し、米国内で活動する企業のLGBTへの貢献度を客観的に評価している。具体的には、LGBTの社員が働きやすい職場環境を整備しているか、LGBTの消費者を配慮した商品開発やサービス提供に取り組んでいるかなどを調査・分析し、企業の適応力や実践力を格付けている。
格付けは「信用格付(credit rating)」とも呼ぶ。金融商品または企業・政府などの信用状態に関する評価をシンプルな記号や数字で表したランキングだ。この客観的で中立的な格付け評価は、LGBTやLGBTの支援者の購買行動に大きな影響を及ぼすだけでなく、投資家の動機づけや判断基準に役立つ。
したがって「100点満点中30点」の落第点を突きつけられた北米日産は、ユーザの不買行動や投資家の日産離れを恐れた。直ちにLGBTを支援する社内コミュニティの立ち上げ、やがて全社的にLGBTを支援する企業風土が育ってきた。2014年、北米日産は待望の100点満点を獲得。LGBTの支援を推進する日産のダイバーシティ・ディベロップメントオフィス室は、「国ごとに細かい対応は異なっても、全社的にはLGBT支援の姿勢をグローバルに展開していく」とコメントしている。