なぜマリファナ(大麻)常用者は非使用者よりも「セックスの頻度が20%も高い」のか?

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なぜ不法所持・使用の犯罪が絶えないのか?

 森羅万象も社会事象も、根拠や功罪がある。マリファナもそうだ。常識や固定観念のジレンマに陥るのは、実に愚かしい。科学的な判断が未確定ならば、マリファナの功罪を冷静に直視するのがフェアだろう。その功罪は、世界的な視野や犯罪性などの視点で見なければならない。

 マリファナ(大麻:cannabis)は、アサの花冠や葉を乾燥化、樹脂化、液体化させた植物。マリファナに含まれる約60種類のカンナビノイド、特にテトラヒドロカンナビノール (THC)の薬理作用は、紀元前から知られ、治療に活かされてきた。

 だが、日本では大麻取締法の規制がある。つまり、大麻草(カンナビス・サティエル)の花や葉の所持・輸入は、医療目的であっても許可がない限り禁止されている。国連加盟国193ヶ国中、ウルグアイが部分的な合法化に踏み切り、医療大麻の使用と個人的な大麻の少量所持が法律的に許容されている国は、アメリカ、カナダ、イラエル、ベルギー、オーストリア、オランダ、イギリス、スペイン、フィンランドなど。2016年のギャラップ調査によると、アメリカ人の約60%が大麻の合法化を支持している。

厚生労働省が医療的な根拠としているのは世界保健機関 (WHO) の報告書

 現在、厚生労働省が医療的な根拠としているのは、世界保健機関 (WHO) の報告書だ。報告書によると、カンナビノイドは、進行したがんやエイズに伴う嘔吐のほか、喘息、緑内障、抗うつ、食欲刺激、抗痙攣などへの治療効果が臨床試験によって実証されている(参考:「Therapeutic uses of cannabinoids」)。

 その一方で、大麻の使用による健康被害や社会的影響は、アルコールやオピオイドの依存による有害事象よりも重篤ではないとしている(参考:「3.1.3 Treatment trends」)。

 米国独立科学評議会(ISCD)は、大麻の長期使用による認知機能の低下などの有害性を指摘しつつも、最も暴力や事故を引き起こすのは、アルコールであると『ランセット』に発表。だが、大麻による急性の中毒性精神病、被害妄想、誇大妄想、幻聴などの統合失調症のほか、心拍数の増加、心不全の発症のリスクもあるとしている(Phillips, Lawrence D; Nutt, David J; King, Leslie A [November 2010])。

 大麻と暴力の関係性はどうか? モントリオール大学のジュール・R・デューレ教授らは、2017年9月21日に「長期にわたる持続的な大麻使用は、アルコールおよびコカインの使用よりも、暴力に対するより恒常的な関係を示したと発表している(参考:Persistency of Cannabis Use Predicts Violence following Acute Psychiatric Discharge)。

2015(平成27)年の大麻取締法の違反による逮捕者は2101人

 さて、1948(昭和23)年に大麻取締法が制定されて70年足らず。2015(平成27)年の大麻取締法の違反による逮捕者は、2101人に上っている。
 
 芸能人の逮捕も引きも切らず多い。たとえば、勝新太郎、内田裕也、萩原健一、桑名正博、長渕剛、美川憲一、カルーセル麻紀、井上陽水、研ナオコ、押尾学などキリがない。

 なぜマリファナを常用すれば、セックスしたくなるのか? なぜマリファナに手を染めるのか? 薬物依存の深みに嵌る人間心理を解明するマスターキーはあるのか?

 その手がかりすら、人類は手に入れていない。
(文=編集部)

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