元気な今だからこそ始めよう
うつ病を予防したり悪化させたりしないためには、うつの予兆が表れたときに、早めに察知することが大切だ。
うつの予兆としては、不眠や頭痛などの身体の不調、疲れやすさ、無力感や不安、イライラ、焦り、自己否定感などがある。新聞や本の内容が頭に入らない、というのもうつによる集中力の低下から起きているかもしれない。
「ただ、<自分のパターンに気づく>ことが役立つのは、うつの予防だけではありません。気持ちに余裕が生まれますし、これまでは見えていなかった可能性が見えてくることもあります。そして、これまでお話してきた睡眠や身体に目を向けること、栄養などは、すべてこの気づきにつながってくるのです」
まだうつになっていない今だからこそ、始められるこれらの予防策。セルフケアとして、試してみる価値があるはずだ。
(取材・文=里中高志)
西大輔(にし・だいすけ)
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部システム開発研究室長。2000年、九州大学医学部卒。国立病院機構災害医療センター精神科科長を経て2012年より現職。2016年より東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻精神保健政策学分野連携講座准教授を併任。著書に『うつ病にならない鉄則』(マガジンハウス)がある。専門:精神保健学、うつ病・PTSDの予防、栄養精神医学、産業精神保健、レジリエンス。