注意したいのは異型ののほくろ
米ハーバード大学公衆衛生学部(ボストン)のAlan Geller氏率いる研究チームでもほくろとメラノーマの相関性の低さが報告されている。
研究は、昨年3月2日に「JAMA Dermatology」オンライン版に掲載さてたもので、メラノーマと診断されてから3カ月以内の患者566人に対して、全身のほくろの数(通常のほくろと異型のほくろ)、腫瘍の厚さ(進行度の指標となる)を調査した。
その結果、対象患者の約66%はほくろの数が0~20個と少なく、約73%は、異型のほくろが全くみられなかった。しかも、60歳未満の患者については、ほくろが計50個以上ある患者は、厚さのある、つまり悪性度の高いメラノーマがみられる確率が低く、「ほくろが多いほど危険」という通説とは逆の結果が得られた。ただし、異型のほくろについては、5個以上ある人は、異型のほくろがない人に比べ、厚さのあるメラノーマのみられる確率が高かった。
<メラノーマはほくろが多い人よりも、むしろ少ない人によくみられることが示唆される>という通説と浜逆の結果だった。このため、「ほくろの数だけを基準にしてメラノーマのリスクを判断するべきではないと」Geller氏は述べている。
※「ほくろが多いヒトは皮膚がんになりやすい」はウソ!? セルフチェックで早期発見が大事
しかし、ほくろの多い人は若いうちから皮膚科医の検診が推奨されていたためにがんの早期段階で診断され、一方で、ほくろの少ない人は検診を受ける機会が少なく、メラノーマが厚くなってから診断される傾向にあったことが反映されている可能性も多分にある。
米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のDoris Day 氏は、「ほくろの多い少ないに関わらず、新たなほくろの発生や変化を日頃からセルフチェックし、定期的に皮膚科医による検査を受けることが重要だ」と述べている。
もともとあるほくろではなく、突然できたほくろは要注意らしい。気になったら皮膚がん検診を受けてみてもいいだろう。
(文=編集部)