小林麻央さんも最期は自宅で……「家で死ぬ」を叶えるために必要なものとは

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緩和ケアで家族の負担が軽くなることも

 患者の権利や終末期の問題を扱う団体「Compassion & Choices」代表のBarbara Coombs Lee氏は、「今回の調査対象となった介護者が、介護中の高齢者が終末期にあることを必ずしも認識していなかった可能性がある」と指摘。

 「死期が近いことを認識していないと、無益で苦痛を伴うだけの治療を選択することになりやすい。それによって介護者の負担まで増大してしまう場合がある」と説明している。

 一方、今回の研究を実施したOrnstein氏は「終末期の介護では家族の負担が重くなることを、多くの人に知ってもらいたい」と話す。

 また、高齢者の苦痛を和らげる緩和ケアサービスへ、よりアクセスしやすくすることも検討すべきだと強調。「それにより、家族に対する支援サービスの提供も促されるのではないか」としている。

 Lee氏も、ホスピスや緩和ケアにアクセスしやすい環境を整備すべきとの意見に同意し、これらの利用を阻む障壁となっている最大の要因は情報不足であることを指摘。「医師が積極的に共有しようとしない情報を知り、率直な対話をすることが、緩和ケアの普及につながるのではないか」との見方を示している。

家族介護者を支えるサービスの充実を

 日本では高齢化に伴い、1年間に亡くなる人は現在の約130万人から、2040年頃には年間約170万人に急増すると予測される。医療費削減のために介護・医療政策が「施設から在宅へ」と推し進められている状況は、わが国もアメリカと同様だ。

 加えて、内閣府が2012年に55歳以上の約2000人を対象に行った調査では、「自宅で最期を迎えたい」と回答した人は54.6%にのぼる。一方で在宅ケアを専門とする地域医療も少しずつ整備され、末期がんの患者では在宅でのケアを選ぶ人の割合が増加しているという。

 在宅医療は高額なイメージがあるが、実際には医療も介護も公的な保険制度が適用される。自己負担が一定額以上になれば「高額療養費制度」で払い戻しが受けられるし、70歳以上の一般所得者の医療部分における自己負担限度額は1万2000円だ。

 そうした制度を利用すれば、一般的には、病院に入院する場合にかかる総費用と同じくらいか、それ以下だと考えて良いだろう。

 そなるとやはり最も高いハードルは、アメリカの調査が物語るように、サポートする家族の負担の大きさだ。日本のある介護情報サイトの調査によると、家族介護者の約6割が「1日の介護に費やす時間は5時間以上」と答えている。これが平均値なら、終末期はもっと介護時間が長くなることは想像がつく。

 今後、在宅医療を選択肢にしていくためには、家族介護者へのさらなるサポートが不可欠だ。

 ひとつの方策として、家族が介護から解放されて、趣味などに費やす時間を提供する「レスパイトケア」サービスの充実がある。現状、訪問介護やショートステイ、夜間サービスなどが用意されているが、重いがん患者などが利用できる療養型デイサービスはまだ少ない。

 また、末期のがん患者は40歳以上であれば訪問介護サービスを介護保険で受けることができるが、そのことを知らなかったという家族も多いという。

 末期がんだけでなく、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、関節リウマチ、脳血管疾患、脊柱管狭窄症など合計16の特定疾病が対象となる。在宅医療をサポートする情報のさらなる発信も必要とされている。

 「死」に向かう人ひとりひとりの思いが守られ、安心できる場所で最期を迎えることができるよう、これから社会全体で支えていく仕組み作りを急がねばならない。
(文=編集部)

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