インタビュー「訪問看護ステーション」前編:Recovery International株式会社代表・大河原峻さん

自由な発想で事業を拡大!看護師が起業した「訪問看護ステーション」の成長の秘訣

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訪問看護の現状はどうなっているのか?(depositphotos.com)

 人員の確保などで事業継続の難しさが浮き彫りになっている「訪問看護」の業界において、看護師を積極的に採用し、これまでの訪問看護の枠に囚われない自由な発想で事業を拡大して急成長を遂げている訪問看護ステーションがある。設立5年で、東京(新宿区)、沖縄(那覇市)、兵庫(西宮市)、静岡(富士市)、高知(南国市)、福岡(福岡市)など、6拠点を開設したRecovery International株式会社だ。

 訪問看護・リハビリなど、在宅医療サービスを展開する同社は「ご用者様のもうひとりの温かい家族」を目指し、都内だけでなく、離島をはじめ運営が難しい地域にも果敢に事業を展開。事業の拡大だけでなく、訪問看護を通じた地域の貢献にも力を入れている。

 同社を運営する大河原峻氏は、経営者としてだけでなく、手術室・救急病棟・ICU病棟の看護師や、海外の医療ボランティアなどの経験を基に、自身も患者の元を訪れ、看護に携わる現場主義の経営者だ。そんな大河原氏の現場主義が、看護師たちの離職率に歯止めをかけ、会社を急成長させる原動力にもなっているという。

 今回は大河原氏に、同社の設立のきっかけや離島での訪問看護事業についてインタビューし、現在の在宅医療の問題点や訪問看護の将来について考えてみた。

起業のきっかけは「病院の仕組みに対する疑問」

 大河原氏が「利用者目線の在宅医療」と「医療者目線の働きやすい環境構築」を目指して同社を起業したのは2013年11月。それまで看護師として病院勤務を10年続け、「病院の仕事がすごく好きで看護師の仕事も好きだった」という。しかし、ある時期から病院の仕組みそのものに疑問を抱きはじめて、退職して起業を決意した。何を疑問に思ったか?

 「とにかく努力しても評価がされにくい、病院の仕組みにです」と大河原氏。「救急の勉強だったり、患者さんのために高度な知識を勉強しても、何もしない人と、勉強し努力した人の評価が変わらず悔しい思いをしてきました」と看護師の職場環境の問題を指摘する。

 「患者さんのために努力することで、患者さんは喜んでくれる。しかし病院側が喜んでくれるかというと、必ずしもそうでないことがありました。そんな病院の看護師への評価体制の仕組みに、ずっと疑問を感じていたんです。その時は公立病院に勤務をしていたので『公立以外の病院も経験しよう』と思い私立病院へ移ったんですが、働きはじめたら国内の病院の看護師への評価の仕組みは画一化されていると感じ、それなら海外の病院でも働いてみたいと思い、オーストラリアへ行こうと考えたんです」

 一度は海外に活路を求めた大河原氏だが、今度はオーストラリアと日本の「看護の環境」の違いにぶち当たった。「オーストラリアは、ケアよりもプランニングやエビデンスを立てることに重きを置くやり方。僕は違うと思ったんです。僕は日本人的なところがあるので、患者さんと接することが何よりも喜びになるんです」と話す。

 その後、フィリピンやベトナムに行き、現地でできた友達を通じて、在宅医療に興味を持つようになる。

 大河原氏によると「最初は正直、訪問看護とかに興味はなかったんです。僕は介護保険が始まったばかりの頃に学生時代を過ごし、在宅医療に感心があまりなかったんです」とのこと。

 しかし、その後、在宅医療や訪問看護について調べはじめ、「訪問看護ステーションが足りない」といった日本の介護の現状を知るにつれ、「在宅のサービスを作りたい」と考えるようになった。

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