ビタミンB3な食べ物は、魚なら、たらこ、鰹節、まぐろ、野菜なら、らっかせい、バターピーナッツ、干ししいたけ、とうがらし、舞茸、エリンギ、松茸など(depositphotos.com)
ビクター・チャン心臓病研究所(Victor Chang Cardiac Research Institute)の研究チームは、「ビタミンB3(ナイアシン)を摂取するだけで、流産や先天異常を大幅に減少できる可能性がある」とする論文を米医学誌『ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)』に発表した(「AFPBB News」2017年8月11日)。
発表によれば研究チームは、魚や野菜に含まれるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)が欠乏したマウスの胚を対象に、ビタミンB3(ナイアシン)の投与による効果をまず調べ、その有意性を確かめた。さらに、流産や胎児の先天異常を経験した妊婦や家族の遺伝子を詳しく解析し、NAD分子の生産を阻害する遺伝子変異を特定した。
その結果、妊婦体内でNAD分子の不足によって生じる子宮内の胚や胎児の正常な発達の阻害は、ビタミンB3(ナイアシン)の摂取によって解決できる事実が判明した。
研究チームによると、ビタミンB3(ナイアシン)を母マウスの餌に入れる前は、流産や胎児に多様な先天異常がみられたが、餌の変更後は、流産や先天異常がみられなくなり、子どもはすべて健康体で生まれたという。今後は、高リスクの女性を特定するためのNADレベル測定検査法を開発し、対象となる女性に十分なビタミンB3(ナイアシン)の摂取を確保する研究を続ける。
実証されたビタミンB3(ナイアシン)の高い安全性と有効性
さて、ビタミンB3(ナイアシン)には、どのような臨床的なメリットがあるのだろう?
ビタミンB3(ナイアシン)は、450種類以上の酵素反応にの関与しているので、60年以上にもわたって、何万人もの患者に使われたため、きわめて好ましい治療効果をもたらし、その高い安全性と有効性が確認されている(「国際オーソモレキュラー学科ニュース」2017年6月15日)。
第1に、ビタミンB3(ナイアシン)は、高血圧などの循環器疾患による死亡率を下げ、患者が服用をやめて10年が経過しても、効果が持続する事実が判明している。
第2に、ビタミンB3(ナイアシン)は、高用量摂取(3000~5000 mgを1日に分割摂取)すれば、脳卒中の死亡率が劇的に低下する事実が多くの臨床研究によって確認されている。
第3に、ビタミンB3(ナイアシン)は、高用量( 3000~5,000 mg)を摂取すれば、スタチン系薬剤よりもHDL(善玉コレステロール)値を上げながら、LDL(コレステロール値)を改善する事実が証明されている。
第4に、ビタミンB3(ナイアシン)は、 数千mg単位の高用量摂取を行うだけで、1万人以上の統合失調症患者への有効性が臨床的に実証されている。
そのほか、ビタミンB3(ナイアシン)は、フラッシュ(紅潮反応)による血管拡張をもたらすことから、脂質異常症を改善する事実も確認されている。