ヒアリは刺されると火傷のような激しい痛みだけでなくアナフィラキシーショックを起こし死亡する場合もある(写真はWikipediaより)
強い毒を持ち攻撃性が高い外来種の「ヒアリ」が遂に日本上陸した!
「最凶の外来生物」「殺人アリ」などという衝撃的な言葉とともに、小さな侵入者のニュースが連日メディアに踊っている。
先月に兵庫県尼崎市から始まった一連のヒアリ発見の経緯は次の通りだ――。
1カ月強の間に全国で次々と
●6月9日:兵庫県尼崎市
5月26日に中国・広州から神戸港に運ばれたコンテナの積み荷を取り出す際に、内部でアリの集団が見つかる。コンテナは神戸市内に移されて消毒。6月9日にヒアリと確認された。
●6月18日:兵庫県神戸市
ヒアリのいたコンテナが保管されていた場所を調べたところ、舗装面の亀裂などで約100匹のヒアリを発見し緊急駆除。
●6月30日:愛知県弥富市
名古屋港のコンテナ置き場で外来種と見られるアリ7匹が見つかり、殺虫剤で処分。港の管理会社から鑑定を依頼された環境省がヒアリと確認した。
●7月3日:大阪府大阪市
6月30日に大阪港のコンテナ周辺の土で外来種のアリが見つかり、ヒアリとアカカミアリと判明。さらに同じ場所で50体のヒアリとみられる死骸が回収され、その中には女王アリ1個体が含まれていた。
●7月7日:東京都品川区
6日に東京港の大井ふ頭に陸揚げされたコンテナからヒアリ1匹を発見。さらに環境省が緊急調査により100匹以上見つかったと発表した。卵を産む女王アリは今のところ見つかっておらず、全て殺虫剤で駆除。
「女王アリ」の初確認で日本に定着の恐れが拡大
関係者に特に危機感を与えたのは、大阪港で「女王アリ」の死骸が見つかったことだ。
ヒアリは非常に繁殖力が強く、女王アリは1日に2000~3000個の卵を産むことで知られている。今回、見つかった個体のほかにも女王アリがすでに浸入している可能性もあり、専門家は「日本にヒアリが定着する可能性が高まった」と指摘している。
数万匹が棲息するコロニーが形成されるのにかかる期間は、半年から1年。そのうち新たな女王アリや雄アリが誕生すれば、港湾地域の外にも生息エリアが広がる恐れがあるのだ。