<配偶者ロス>を越えていくには……(depositphotos.com)
6月22日、乳がんで闘病中だったフリーアナウンサーの小林麻央さんが34歳の若さで亡くなった。同じ病気の人を勇気付けようと始めた小林さんのブログの読者は200万人超。ブログ読者以外にもテレビやネットの報道で多くの人が彼女の病状に一喜一憂していたから、その死は日本中にショックを与えた。
翌23日には夫・市川海老蔵さんが会見を行い、病状が悪化し話をすることもできなかった真央さんが、今際の際に「愛してる」という言葉を残したと話した。これに涙した人も多いだろう。海老蔵さんはじめ家族の喪失感はいかばかりのものだろうか……。
小林麻央さんという伴侶をなくした市川海老蔵さんは、「没イチ」となった。
え? バツイチじゃなくて「没イチ」?
配偶者ロスが長引くことが多い「没イチ」
配偶者に先立たれた人、それが「没イチ」だ。数年前から登場した呼び名で、離婚による「バツイチ」に対応した言葉かと思われる。「バツ2」のように、2度目の配偶者をなくしたら「没2」になるというわけ。
バツイチとの違いは「配偶者ロス」が長引くことだ。
バツイチはさまざまな問題があって、ふたりで決めて離婚に踏み切ったわけだから、配偶者ロスが多少あったとしても覚悟の上のこと。
しかし没イチは、海老蔵さんのように「ずっと一緒に生きていたかった」のに不可抗力によって永遠の別れに至ってしまったわけだから、心はまだ亡くなったパートナーの元にある。
来る日も来る日も涙にくれる人、あまりの悲しみからそれまでの友人知人との付き合いを断ってしまう人、助けられなかったという罪悪感から抜け出せない人、抜け殻のようになり仕事にも復帰できず、日常生活を送ることが困難になる人もいる。
特に妻に先立たれた男性の中には、家事が全くできないことから悲しみの中で途方にくれるという人もいて、別の問題が浮上することもある。身体的にも、睡眠障害、食欲障害、疲労感、めまいや動悸、白髪の急増、自律神経失調症、免疫力の低下などが現れることも少なくない。