連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第16回

梅雨と片頭痛の関係〜気圧に5〜10hPaの変動があると頭痛が誘発される

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「天候」「気温」「大気汚染」などで片頭痛を誘発する人は「頭痛ダイアリー」をつける

 最後に、環境と頭痛という視点では、「大気汚染と頭痛」との関係も知られています。これは二酸化硫黄やPM2.5の大気濃度が上昇すると頭痛が誘発されるという、カナダのエドモントンでの報告(注5)です。

 海外の事例のため、日本の気候や大気汚染の状況と単純に比べることは難しいですが、実際、私の患者さんでも、PM2.5の量によって頭痛を誘発される人います。これら大気汚染も頭痛を誘発する因子の一つと考えられます。

 今回、述べた「天候」「気温」「大気汚染」などの誘発因子で片頭痛患者の方は、自分の頭痛について「頭痛ダイアリー」を詳細に記入することで、自分の頭痛を分析できるようになります。

 たとえば「明日は低気圧が来るので、頭痛を起こしたら困るので、明日は外出を控えよう」などの対策が可能になってきます。どのような天気や環境の時に、自分は頭痛を起こしやすいのかを「頭痛ダイアリー」に記載することで、薬を内服するタイミングや自分のライフスタイルを調節できるようになってくると思います。

(注1)Kimoto K et al. Intern Med. 2011;50(18):1923-8.
(注2) Okuma et al. SpringerPlus (2015) 4:790
(注3)Yang et al. The Journal of Headache and Pain (2015) 16:49
(注4) Denda M Extrem Physiol Med. 2016 Oct 6;5:11.
(注5)Szyszkowicz M et al. American Journal of Emergency Medicine (2009) 27, 391–6


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西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授、近畿大学医学部附属病院神経内科。1992年、近畿大学医学部卒業。近畿大学附属病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、2014年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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