連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第13回

アメリカ大統領には「頭痛持ち」が多い!? トランプ氏当選で来年は国民に「頭痛持ち」が急増?

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彼も「頭痛持ち」か?(shutterstock.com)

 日本でも盛り上がりました米国大統領選挙が11月に行われました。アメリカ国民は、メディアの予想に反してトランプ氏を選びました。

 今までの報道等を見ていますと、どちらの候補も大統領の資質に問題があったのか、選挙でトランプ氏、ヒラリー氏を選ぶこと自体が、有権者の「頭痛の種」になっているような報道も多数目にしました。きっとアメリカ国民の中にも多数、頭痛が発生していたのかもしれません。

 また大統領でいいますと、トランプ氏と同様に、過激な発言で有名なフィリピンのドゥテルテ大統領も、重要なAPECの会議を「片頭痛」で欠席された報道がありました。

 よって、今回はアメリカ大統領にまつわる頭痛のお話しをしてみたいと思います。

「頭痛持ち」だった9人のアメリカ大統領

●第2代大統領:ジョン・アダムズ(1735〜1826)

 イギリスからアメリカ独立に貢献したことで第2代大統領になりました。アメリカ合衆国建国の父の中でも最も影響力があった者の一人とされています。このジョン・アダムズやその妻であるアビゲイル・アダムズは夫婦で「頭痛持ち」として知られています。

 特に妻のアビゲイル・アダムズの母親も頭痛であることが文献に残っているようですので、片頭痛だったのかもしれません。

●第3代大統領:トーマス・ジェファーソン(1743〜1826)

 ジェファーソンは20代前半に初めて片頭痛を発症したことが伝記などから報告されています。彼の頭痛は、人生の節目である、恋愛、母との死別、妻との死別など精神的ストレスが、片頭痛を悪化させたというような記述があります。

 大統領になってからは、日々の職務がストレスとなり、常に頭痛を来たしていたと言われています。特に原稿を書いたり会計をしていたときなどに、頭痛に苦悩する彼の記述があります。最近になって、群発頭痛であったとのレポートもありますが、彼の伝記や文書によると反復性の片頭痛であったのではないかと思います。

●第16代大統領:エイブラハム・リンカーン(1809〜1865)

 奴隷解放の実現など、偉大な大統領と評価されています。その業績が認められ、リンカーン記念館の大きなリンカーン像がワシントンDCに立てられています。

 彼も片頭痛を患っていました。「彼の人生のすべての悩みや不安は、彼が片頭痛の痛みが起こると、横になって安静にする必要がある」という記述を、メリー・リンカーン(彼の妻)が残しています。

●第18代大統領:ユリシーズ・グラント(1822〜1885)

 もともとアメリカの軍人で南北戦争中の北軍最高司令官として有名になり、第18代大統領となりました。大統領になってからは、汚職とスキャンダルで名を落とした大統領でも有名です。日本では、1879年に初めて訪日した大統領として評価されていす。

 グラントは激しい片頭痛に悩まされていたことでも有名でした。1865年4月8日から、いつもの頭痛に苦しんでいましたが、翌日4月9日に南軍のリー将軍から降伏の書簡を受け取ったとたんに、頭痛は瞬間に消えてしまったと言う記録があり、やはり精神的な要因が頭痛に影響している一例と思います。

●第28代大統領:ウッドロー・ウィルソン(1856〜1924)

 ウィルソンは「神経質、消化不良、頭痛が深刻になってくると、仕事に深刻な影響を与えるようになった」と記載しています。1883年に政治学を学ぶためにジョンズ・ホプキンス大学に到着後、彼は「私は昨日、今日と、私の頭の中は、すべての機能が停止するほどの拍動性痛と鈍痛で苦しんでいます」と書いています。

●第33代大統領:ハリー・S・トルーマン(1884〜1972)

 ハリー・S・トルーマンは、自分の頭痛を自己診断で副鼻腔炎よる頭痛としていました。そのため、神経内科でない耳鼻科医師に診察を依頼していました。しかし、上院議員としてたびたび頭痛発作を経験しており、現在の診断では片頭痛たっだのかもしれません。

●第34代大統領:ドワイト・アイゼンハワー(1890〜1969)

 ドワイト・アイゼンハワーは頭痛について、「背中と胃のストレスミステリアスな痛みに、そして下痢、耐え難いほどの頭痛がある」と述べたという報告が残っています。

西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授、近畿大学医学部附属病院神経内科。1992年、近畿大学医学部卒業。近畿大学附属病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、2014年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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