交感神経が働かず、循環血液量が減少!血圧が低下し頻脈と脳貧血に陥る
なぜ起立性調節障害は、思春期に起こりやすいのだろう?
人が起立すると、血液は重力のために下半身に移動するので、血液の重力によって動脈と静脈の血管腔が拡張し、下半身に血液が貯留するため、心臓に還る循環血液量が減少し、血圧が低下する。だが、健常者なら、交感神経からノルアドレナリンが分泌され、動脈と静脈の血管腔が収縮するため、心臓に還る循環血液量が維持され、血圧は低下しない。
一方、起立性調節障害は、起立直後に活発化する交感神経が作動せず、心臓に還る循環血液量が減少し、血圧が低下したままの状態になる。その結果、心臓は血圧を維持するために心拍数を増加させて頻脈を起し、脳の血液循環が悪化するため、脳貧血(失神前状態)に陥る。
このように起立性調節障害は、思春期に特有の自律神経機能の失調障害だ。感受性が強く、ストレスに過敏な思春期は、子供から大人へ心身が急変するので、心身のバランスが乱れやすい。教師や学校への不信感、学校でのいじめ、友人との葛藤、部活動の顧問との軋轢、家庭問題のトラブル、受験・進学の悩み、性の悩みなども追い打ちをかける。
起立性調節障害は、交感神経が高まる午前中に症状が悪化しやすく、温暖になって血管が開き、血圧調節が難しい春に多発しやすいことも特徴だ。