乳幼児が安心して遊べる「公園」とは?(depositphotos.com)
ときどき「公園の遊具による事故」のニュースが報じられることがある。その一方で、待機児童を解消するために、都市公園に保育所を設置する規制緩和の動きもある。公園で子どもを安全・安心・快適に遊ばせたいというニーズや世論は高まっている。
「公園のチカラLAB編集室」(株式会社キャップスアソシエーション)は、全国の0〜6歳の乳幼児・幼児を養育中の20〜40歳代の女性551名を対象に「乳幼児・幼児が安心して遊べる公園に関するインターネット調査」を行った。
調査結果を見てみよう――。
近くに行きたくなる公園がない48%、忙しく連れて行けない32%
まず、子どもの成⻑について提唱された「スキャモンの発育曲線」を知っているか、理解しているかの質問に、「知っている、理解している」という人は20%と少なかった。
スキャモンの発育曲線とは、知覚神経、運動神経、自律神経の発育のおよそ80%は、小学生になるまでに終わるとする学説だ。1930年に米国の医学者・人類学者のR.E.スキャモンが唱えた学説で、発育発達学、スポーツ科学、人類学などの書物や論文でよく引用されている。
この学説を知っている人は、小学校に上がってから神経系の成⻑に取り組んでも遅いと考えるため、より積極的に公園に連れて行く頻度が高い。
次に、公園の利用状況を尋ねたところ、「公園で身体を動かすことは大切」と考える人は95%だが、「子どもを公園に週に1回以上連れて行く」という人は54%に留まった。週1回以上連れて行かない理由は、「近くに安全・安心な遊具がある行きたくなる公園がない」が48%、「仕事や家事が忙しいために連れて行く時間がない」が32%と、場所と時間の制約が80%を占めた。
行きたくなる公園は、「子どもを安心して遊ばせられる公園」が81.7%、「住んでいる近くにある身近な公園」が73.0%、「ブランコ、シーソー、鉄棒、すべり台、砂場、芝生などの楽しい遊具や環境がある公園」が51.4%。また、「母親がどの遊具や遊びでも必ず付き添う」が56.3%、「何らかの形で子どもに注意を払う」が77.5%と、子どもの動きに配慮する母親が多いことが伺える。
一方、遊ばせたくない公園は、「鳩やカラスが群れていたり、犬や猫の糞がある」が57.2%、「ゴミ箱にゴミがあふれていたり、トイレが清潔でない」が50.5%、「中高生がたむろして雰囲気が悪い」が49.9%、「トイレがないか使いにくい」が47%、「遊具の点検や修繕が不十分」が46.5%、「幼児が遊べる遊具がない」が46.1%、「小学生が遊んでいるボールが当たりそうで怖い」が40.8%などだった。とくに乳幼児・幼児は直前にならないと「トイレに行きたい」と言わないため、トイレがない公園は敬遠される。
その他、公園にあったらいいと思う施設・設備は、小学生とのゾーンを分けた乳幼児・幼児の利用に適したサイズのトイレや手洗い場への要望が高かった。利用のしやすさや清潔感などの他に、母親の介添えがなくても、自分でさせるメリットがあるからと考えられる。
この調査結果から、母親が子どもを遊ばせる公園に求めているのは、安全・安心、身近かさ(利便性)、遊具や自然の楽しさ、清潔さ、快適さであることが分かった。