コーヒーを飲む人のほうが炎症性タンパクを抑える
米スタンフォード大学のDavid Furman氏らの研究で示唆され、論文が『Nature Medicine』(オンライン版)に1月16日掲載された。
Furman氏らは、成人100人超を対象とした調査で、過去10年間にわたり血液検体を採取して病歴を精査。若者と高齢者の2つのグループに分けて血液検体を比較したところ、高齢者のほうで「活性化」する遺伝子を調べた。
「IL-1-β」という強力な炎症性タンパクの産生に関わる2つの遺伝子クラスタに着目した結果、高齢者を一方または両方のクラスタの活性化が高い群と低い群に分けた。
「高活性化」群では12人中9人、「低活性化」群では11人中1人に高血圧があった。高活性化群では動脈硬化の可能性も高く、血液検査ではIL-1-βと核酸代謝産物の値が高かった。
ここで注目すべきは、低活性化群のほうが、カフェイン入りコーヒーの摂取量が多かったということだ。
高活性化群の血液にみられた核酸代謝産物を用いて免疫系細胞を培養したところ、IL-1-βが大量に生成された。これをマウスに注射すると、広範囲の炎症と高血圧が生じたという。
次に、核酸代謝産物とカフェインの両方で免疫細胞を培養すると、カフェインがこれらの炎症誘発物質を阻害することが判明した。
Furman氏は、「人体にはおそらく、慢性炎症やさまざまな疾患に寄与する経路が数多くある。我々はそのひとつを特定した」と述べている。
砂糖の摂り過ぎと「コーヒーフレッシュ」には注意
またひとつ、新たな健康効果が報告されたコーヒーだが、砂糖の摂り過ぎには注意したい。いくらコーヒーに健康効果があろうとも、砂糖をたっぷり入れてしまうと逆効果になりかない。
また、コーヒーに入れる「コーヒーフレッシュ」も控えたほうがいい。 保存も簡単で便利このうえないコーヒーフレッシュだが、フレッシュでもなんでもない“なんちゃってミルク”。植物油に水を混ぜ、添加物で白く濁らせ、ミルク風に仕立てたものだ。
欧米の一部の国では全面禁止になっている「トランス脂肪酸」が含まれている。さまざまな加工食品に含まれるトランス脂肪酸は、多くの研究で冠動脈疾患との関連性が指摘され、健康への悪影響が懸念されている。
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これまでのさまざまな研究報告などをまとめると、健康に気をつかうなら、コーヒーはブラックか、入れるなら本物のミルクに限るということになるようだ。
(文=編集部)