朝食には“完全無欠のコーヒー”を(shutterstock.com)
完全無欠のコーヒー(bulletproof coffee)をご存じだろうか。いま、痩せるならばワラをもつかみたいダイエッターの間で話題沸騰の「バターコーヒー」である。
発案者は、IT起業家で投資家のデイヴ・アスプリー氏。ビジネスの成功の陰で肥満と体調不良に悩んだ彼は、持てうるスキルと私財30万ドルを駆使して、130キロの巨漢から減量50キロを敢行。自らの身体をバイオハッキング(数値化&徹底分析)し、試行錯誤の末、そのメソッドを確立した。
計算された痩身効果に伴い、自らのIQも20ポイントアップさせたデイヴ氏は、その自伝的体験記『THE BULLETPROOF DIET(訳題:シリコンバレー式自分を変える最強の食事)』を上梓。
セレブ勢やトップアスリート陣にも支持され、「全米の食生活を変えた」とうたうほどのベストセラーとなった。そのメソッドのなかでも耳目を集めたのが、バターコーヒーだ。
チベット茶の効能から独自ブレンドを
きっかけは2004年のチベット登山時。薄い空気と零下23℃の厳しい条件下で立ち寄ったゲストハウスでふるまわれた、伝統的なヤクのバター茶がヒントをくれた。
この生き返った心地のクリーミーな秘密はなんだ!? 軽装重視の彼ら遊牧民族が敢えて重いブレンダーや手動の攪拌機を常備している理由はなぜか……。
ふたつの謎を解き明かすべく、アスプリー氏は全世界のブランドバターを買い漁った。数え切れない試飲の末、「グラスフェッドビーフ(牧草牛)の無塩バターを使う」という結論に至った。
さらに長年のアンチエイジング研究から、ココナッツオイルの健康効果を熟知していた同氏は、MCTオイル(ココナッツから抽出した中鎖脂肪酸オイル)の“オリジナルブレンド”を加味した。
高品質な一杯のコーヒーをいれたら、上質なバター(大さじ1杯)を入れ、好みに応じて、MCTオイル(大さじ1~2杯)を加える。アスプリー氏が、7年以上も続けているシンプルな朝食習慣である。
デイヴ氏のダイエット成功のポイントは、中鎖脂肪酸を摂取して脂肪を燃やす「ケトン体ダイエット」と、プチ断食(fasting)の組み合わせだ。
その際に最低15時間は強いられる「空腹感」を埋め、仕事の効率も低下させないための苦肉策として編み出されたのが、話題の「完全無欠コーヒー」である。
腸内細菌にとって「恰好のエサ」となる抗酸化物質、「肥満の原因」を生む炎症を抑えてくれる抗炎症物質、コーヒーはその双方を豊富に兼ね備えているという。